【90年代ロックの快楽】
Suede – Metal Mickey
Suede – Metal Mickey
当時はそれほどとも思わなかったが、今見ると大問題ジャケットだな。いいのか、これは。
たしかに彼らの歌詞の世界観は異端のワイルドサイドかもしれないけれど、わたしは当時「久々にイギリスの正統派バンドが出てきたわさ!」と思ったものだった。
「メタル・ミッキー」は、彼らの2ndシングルだ。
日本では1stシングル「ザ・ドラウナーズ」とカップリングで、ミニアルバムとして発売された。
そのポップでクオリティの高い楽曲は、逆にあっけらかんと禁じ手を開放したような、まさに「衝撃のデビュー」といった感じだった。
当時の英国ロック・シーンはマンチェスター・ムーヴメントとシューゲイザーの2本立てだったけれど、スウェードはいかにもイギリスの伝統的な、グラム・ロックのような華とわかりやすさ、そしてザ・スミスのような耽美的な内向性を併せ持った、英国名物みたいなのが出てきたわさ、という驚きと歓迎だった。
そして彼らの登場によって、「ブリット・ポップ」という新たな扉が開かれたのだった。