R.E.M.『グリーン』(1988)【最強ロック名盤500】#10

Green [Analog]

⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#10
R.E.M.
“Green” (1988)

MTVと電子楽器全盛の80年代に、流行の真逆をいく音楽性で「米インディーズ界の良心」と評されたR.E.M.の、メジャー移籍第一弾だ。

もともとR.E.M.はジョージア州のアセンズという、ジョージア大学がある学園都市の出身ということもあり、インディーズ時代から学生たちの圧倒的な支持を得ていた。

アメリカには各大学の学生たちが運営するFMラジオ局が多数存在し、彼らが好きな音楽を流しているらしいのだけれど、その各大学のチャートをまとめたのが「CMJ (カレッジ・ミュージック・ジャーナル) チャート」だ。クロスビート誌に毎月そのチャートが載っていて、わたしも随分CD購入の参考にしたものだった。

そのCMJチャートで当時人気を博していたのが、英国のバンドではザ・スミス、米国のバンドではこのR.E.M.だった。彼らが世界的に評価されていくと共に、CMJチャートとそこで人気を博しているインディ系のオルタナティヴ・ロックにも注目が集まり出した。これが90年代のオルタナティヴ・ロック・ムーヴメントの下地になったのは間違いない。

インディ界の人気者がメジャーに移籍となれば賛否両論が巻き起こるのは必至のはずだったが、当時R.E.M.が批判されたという記憶はまったくない。むしろ本作は絶賛の嵐だった。

メジャーに移籍して変わったことは、よりパワフルになったことぐらいだ。彼らの芯となるバーズやディランが創造したフォーク・ロックと、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが創造したオルタナティヴ・ロックという、表と裏、光と闇の両面を併せ持った、アメリカン・ロックの真の継承者と言うべき音楽性はまったくブレることなく、商業主義的な妥協もまったく感じられなかった。

90年代に入るとR.E.M.は世界的な人気を博すビッグバンドになったが、ただし当時のわたしはそれほど熱中したわけではなかった。
当時20代前半の血気盛んなわたしは、もっと極端にうるさい轟音ギターロックとか、刺激多めの激辛料理みたいなロックが好みだったので、伝統的な素材の味を生かした郷土料理のようなR.E.M.は若干食い足りなかったのである。

しかし現在は、R.E.M.は80〜90年代のバンドの中では特に好んでよく聴くバンドのひとつだ。本作はポップな曲も良いが、内省的な曲にまた深い味わいがあり、特に好きなアルバムのひとつだ。

R.E.M.にとって通算6枚目となるアルバム『グリーン』は1988年11月にリリースされた。
アルバムは全米12位のヒットとなり、シングルカットされた「スタンド」は彼らにとって過去最高となる、全米チャート6位まで上昇する大ヒットとなった。

(Goro)

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コメント

  1. ごろー より:

    わかりますよ
    わたしも最初は、なにがいいのかわからなかったバンドだったので、そのわからなさはわかる気がします(笑)
    たぶんですけど、古いフォークロックでも聴くつもりで、過大な期待をしないのが、彼らを好きになれるコツかと思います(笑)。

  2. r-blues より:

    R.E.M.解らないのdeath(((^_^;)
    “R.E.M.”
    バブリーな頃から都会の有線やFMなどでヘビーに流れてたし、CD借りてカセットにダビングして、頭に刷り込もうと?したけど、、、無理でした(^-^;)。
    食べ物と一緒で、苦手なのがあるのもイイんじゃないかと…”ビッグネーム”で苦手なのは、”R.E.M.”だけdeath(^o^)/
    歌詞さえも読みつくして、好きになっちゃうのも、それまたツマラナイし…多分なっちゃうかな。