【映画】『ジョニー・サンダースの軌跡』(2014西) ★★★☆☆

Looking for Johnny ジョニー・サンダースの軌跡(字幕版)

【音楽映画の快楽】
Looking for Johnny

監督: ダニー・ガルシア
出演:ジョニー・サンダース、シルヴェイン・シルヴェイン他

ニューヨーク・ドールズのギタリストとして、ニューヨーク・パンクの代表格として、ロックンロールの興奮そのもののギター・プレイ、ソングライティングの才能、そして破滅的な生きざまは、パンク・ロッカーの中でも別格的にファンに愛されたものの、38歳で世を去ったジョニー・サンダース。本人と関係者のインタビュー、過去映像を中心に構成されたドキュメンタリーだ。

わたしはジョニー・サンダースの音楽が大好きだ。
でもこういうドキュメンタリーを見るのはあまり気が進まない。
複雑な思いだ。

彼はロック・ギタリストとして素晴らしい才能を持っていたし、セックス・ピストルズと同じくらい素晴らしいアルバムもつくったが、その才能に見合った成功や栄誉とは無縁だった。
メジャー・レーベルが彼との契約を見送ったのは、彼がジャンキーだったからだ。

生涯を不遇に過ごしたまま、若くして逝ってしまった男の人生をあらためて辿るのはつらい。

また、残されたライブ・フィルムなどもかなり状態の悪い、質の低いものばかりなのも悲しい。

正直、この映画を、ジョニー・サンダースを知らない若者に奨めても、彼がいかに苦難の人生を送ったかということはわかっても、彼がいかに素晴らしいアーティストだったかということは伝わらないと思う。

それがなによりも哀しい。

少年時代のジョニーはリトル・リーグで活躍する野球少年で、プロを目指していたという。
「実はドジャースからもスカウトを受けたことがあるんだ」とジョニーは話す。
しかし、ビートルズが登場して、彼の人生を変えたという。

もし彼がそのまま野球を続けていたら、幸せな人生を送れただろうか。

われわれは彼のギターや、あの素晴らしいアルバム『L.A.M.F.』を聴くことが出来なかったかもしれないと思うと、彼が音楽の道に進んでくれて良かったように思う。

でも、そうでなければ彼はもっと健康で、長生きしたかもしれない。

複雑な思いだ。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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