イエロー・マジック・オーケストラ/タイトゥン・アップ(1980)

増殖

【カバーの快楽】
Yellow Magic Orchestra – Tighten Up

オリコンチャート1位に輝いた4thアルバム『増殖-X∞Multiplies』からのシングル。原曲は米テキサス州出身のR&Bグループ、アーチー・ベル&ザ・ドレルズによる、1968年に全米1位となった大ヒット曲だ。

ベースによる2小節のファンキーなリフが延々と繰り返される曲だ。
オリジナルももちろんいいが、細野晴臣のベースはそれよりさらにスピード感があって、スマートだ。YMOなので大きなグルーヴじゃないけど、ファンキーだし、その推進力はロックのリフみたいでもある。まあ、とにかくひと言で言えば、カッコいいのだ。

一度何かで、YMOの3人の関係は、細野晴臣と、彼のベースのファンである坂本と高橋によるグループなのだと、本人たちが言ってるのを聞いたか見たかしたけど、それも頷けるようなカッコ良さだ。細野はYMOではシンセ・ベースを弾くことが多いので、たまにこういう伝家の宝刀を持ちだしてくれると我々ファンもとても嬉しかったりする。

そして小林克也による「Japanese gentleman stand up please!」というフレーズも、あらためてユーモラスだけどカッコいいなあ、と思う。

この曲がいったん終わると、スネークマンショーによる全編英語のコントが始まり、英語がわからない日本人を欧米人が嗤いながら差別的な言葉で徹底的に罵倒するという内容で、それが終わるともう一度この「タイトゥン・アップ」が始まり、小林克也が再び「Japanese gentleman stand up please!」と高らかに叫ぶ。

これがなかなか、当時はまだまだ黄色人種を見下す欧米人が一般的な中で、彼らと国際舞台で闘う日本人へのエールみたいで、いいなあと思ったものだった。

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