名盤100選 54 ザ・クランベリーズ『スターズ~ザ・ベスト・オブ 1992-2002』(2002)

クランベリーズはアイルランドのロックバンドだ。
アイルランドのアーティストと言えばU2、エンヤ、ヴァン・モリソン、シンニード・オコナー、ホットハウス・フラワーズ、スティッフ・リトル・フィンガーズと個性派ぞろいなのだが、このクランベリーズもまたかなりの個性派である。

ドロレス・オリオーダンという名前のこの女性ボーカリストは、見た目は革命戦士みたいでまったく可愛げはないものの、しかしその声は魔力を帯びたように魅力的だ。ほんとにもう少し愛嬌でもあれば「天使の歌声」とまで言いたいところだ。

初めて聴いたのはインディーズのコンピ・アルバムに入っていた「ゾンビ」で、曲もいいが、声そのものの美しさもさることながら、その力強く切れ味鋭いヴォーカルに驚愕した。シュガーキューブスというバンドの「バースデー」を聴いてそのヴォーカリストであったビョークから受けて以来の衝撃だった。

結成当時のバンドは男性ヴォーカルだったのだが、彼が脱退するときに友達の女の子を紹介してオーディションをやらせたと言う。それがドロレスだった。もしわたしがそのバンドのメンバーなら、そのオーディションの瞬間に世界を制覇したと思ったに違いない。

オーディオ好きを対象に限定した自慢ではあるが、先週サンスイのプリメインアンプ、94年製の707を中古で購入したのだ。
いいでしょう。
それからずっと好きなCDを取っ替え引っかえしては、グレードが格段に上がった音に時々「ほー」とか「うおっ」とか「はうあっ」とか言いながら楽しんでいるのだが、クランベリーズの「ジャスト・マイ・イマジネーション」なんてものすごくいい匂いの美女が微笑みながらすぐそこで歌ってるかのように聴こえて惚れ込んだのである。

もちろんサンスイにだが。
いやドロレスは、何度も言うが、べつに可愛くはないのである。