≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その137
Janis Joplin – Me & Bobby McGee
そのクリス・クリストファーソンが書いたこの曲は、カントリーシンガーのロジャー・ミラーが1969年に録音したのが最初だ。
その後、クリストファーソンも自ら歌って自身の1stアルバムに収め、翌年にジャニスがカバーした。
さすがはジャニス、完全に自分のものにしてしまっている。
ジャニスが歌ったら誰もかなわないなあ、などとあらためて思う。
「自由だということは失うものが何も残っていないということ」というフレーズは、クリストファーソンが歌うと絶望的に哀しく胸に迫るものがあるけど、ジャニスが歌うとまるでそれが待ち望んでいた真の幸福のように、穏やかな喜びと希望に満ちているかのように聴こえる。
1970年10月4日、アルバムをレコーディング中だったジャニスは、自分の部屋でヘロインを過剰摂取して死亡しているところを発見された。
クリストファーソンはジャニスのスタジオに遺された「ミー・アンド・ボビー・マギー」のテープを聴いて、こう言ったそうだ。
「ジャニスのために書いたわけじゃないのに、ジャニスのことのようだ」
この曲はジャニスの死後にシングルとして発売され、全米1位に輝いた。
ジャニスのシングル盤が大ヒットしたのは、これが最初で最後だった。
シャウトしまくるド迫力のジャニスもいいけど、こんなふうにカントリー・ソングをナチュラルに歌うジャニスもとてもいい。
もっとたくさんジャニス流のカントリー・ソングを聴いてみたかったな。