名盤100選 92 レッド・ツェッペリン『ザ・ヴェリー・ベスト・オブ~アーリー・デイズ&レター・デイズ』(2002)

誰にでも苦手なものはあるはずなので、たとえ今回の記事がいつもより内容が薄くても許してちょうだい。

わたしはハード・ロックに少々苦手意識があるので、レッド・ツェッペリンもあまり聴いてこなかった。
これが悔しい。
ほんとは若いころにちゃんと聴いておけば、もっとちゃんと理解できていて、こんなベスト盤なんかではなく、渋めのオリジナルアルバムを挙げて、もっともらしいことを書けたはずなのだ。

30代も半ばになり、遅ればせながらこれも苦手意識のあったピンク・フロイドを聴きはじめ、しかも気に入って結局全アルバムを揃えるほどまでになったものだった。
しかしツェッペリンは今からでは到底遅い。もはや手遅れである。

ぶっちゃけ、わたしはこの、ロバート・プラントのヴォーカルが好みではないのだ。
こういうハイトーン・ヴォーカルがわたしは苦手なので、ハード・ロックに苦手意識があるといっても過言ではない。
AC/DCも、ガンズ&ローゼスも、同じ意味で苦手だった。

しかしいくら苦手と言っても、このような凄まじくオリジナリティがある音楽、内容の濃いアルバム、ロックンロールの進化が頂点を極めた瞬間のサウンドを、このベスト100に入れないわけにいかない。
このブログを読んでいる方にもしもロックを好きになり始めたばかりの若者がいたとしたら、できるだけ若いうちに、ビートルズ、ストーンズ、ザ・フーの次くらいの順番でレッド・ツェッペリンのアルバムを、こんなベスト盤ではなくて、オリジナル・アルバムをファーストから順番に聴いていくことをお薦めする。
わたしはたぶん、ビートルズ、ストーンズ、ザ・フーの次にキンクスを聴いてしまったところから、違う道へ、王道ではない道のほうへ、進んでしまったのだと思う。
いやべつにキンクスが悪いというわけではないけど。

わたしが初めて聴いたときから今でもずっと好きなのは、「胸いっぱいの愛」である。
この独特のグルーヴ感がたまらない。
わたしは90年代に、ロックにダンスミュージックを融合させた音楽を好んで聴いたけど、そのグルーヴ感にも似た、新鮮でちっとも古さを感じさせない曲だ。