ブルー・オイスター・カルト『地獄の咆哮』(1975)【食わず嫌いロック】#8

On Your Feet Or On Your Knees (Live)

Blue Öyster Cult
“On Your Feet or on Your Knees” (1975)

ブルー・オイスター・カルトの2枚組ライヴ『地獄の咆哮』(1975) を聴いてみる。
これもまたHR/HM界隈では「史上最高のライヴ・アルバム」のひとつに挙げられることの多い名盤らしい。

ディープ・パープルのイン・ジャパンの異次元の世界とはまた性格が違うが、これもまた火傷しそうに熱い爆演ライブだ。

ブルー・オイスター・カルトはニューヨークのCBGB界隈で活動していたハード・ロック・バンドだ。そのためどことなくNYパンクに通じるアンダーグラウンド臭がするのがまたいい。1967年に結成して以来、不遇な日々が続いたもののの、4枚目となるこのアルバムの全米22位というヒットによってブレイクを果たした。

ハード・ロック食わず嫌いのわたしは、彼らの名前は知っていたが、曲は1曲も知らないし、今回これを初めて聴いた。

ツインギターのはっちゃけた激奏でグイグイ突き進む曲だけでなく、バラードの「Then Came the Last Days of May」なんかもなかなか聴かせる。

演奏能力も高く、サウンド面でも、バンド名のロゴのデザインでも、さすがは米国のヘヴィ・メタルの元祖である。これを当時「全然売れていないアメリカのバンドのライヴ盤」として初めて聴いた人たちはきっと、泡を吹きながらのけぞったのではないかと想像する。ヒット曲なんか1曲もないのに、グイグイ聴かせる。最高だ。食わず嫌いロック、克服である。

「ME 262」では元々のギター二人とヴォーカリストも合わせたトリブルギターで始まり、途中でドラマーもギターに持ち替え、ギター四本とベースで演奏するという、実験精神なのかサービス精神なのかよくわからないものをものを発揮していて、こういうところもまた面白い。

アルバムの原題は”On Your Feet or on Your Knees”だが、これはアンコールで「ワイルドで行こう」のカバーを披露する前に、当時このバンドのメンバーと付き合っていたというパティ・スミスが登場して叫んだ言葉から取られている。

(Goro)