ハーダー・ゼイ・カム/キース・リチャーズ(1978)

【カバーの快楽】
The Harder They Come – Keith Richards

1978年の12月にクリスマス・レコードとしてリリースされた、キース・リチャーズ初のシングル・レコードは、A面がチャック・ベリーの「ラン・ルドルフ・ラン」、B面にこのジミー・クリフの大ヒット曲のカバーが収録された。

日本でも国内盤としてシングル発売されたが、なぜかA・B面を逆にしての発売だった。

聴いてみると、たしかに出来が良いのは「ラン・ルドルフ・ラン」のほうだとは思うし、そもそもクリスマスの時期だから「走れトナカイ」なのだけれども、あえてわざわざレゲエの名曲「ハーダー・ゼイ・カム」をA面にした日本の東芝EMI株式会社の担当者が、わたしはなんとなく好きだ。

ちょっと調べてみたけれど、このレコードのライナーにも、キースの自伝にも、海外版のWikiにも、このレコードが発売された経緯はまったく書かれていないので、そこがよくわからない。

例のカナダでのキースの裁判で温情判決が出た直後の発売なので、なにかそれに関係しているのかもしれない。裁判費用やら、レコード制作やツアーの遅延の損害を取り戻すためにレコード会社に尻を叩かれて出したとか。知らないけど。

プロデュースもキース自身が行い、すべての楽器をキースがひとりで演奏しているのだそうだ。ラフで緩い感じがいかにもキースらしい。

↓ ジミー・クリフのオリジナル。