ザ・ハーダー・ゼイ・カム/ジョー・ジャクソン(1980)ジョー・ストラマー(2003)

The Harder They Come

【カバーの快楽】
The Harder They Come – Joe Jackson,
Joe Strummer and the Mescaleros

1972年当時、余程の音楽通でもなければ知らなかったジャマイカの「レゲエ」というマイナーな音楽を世界に知らしめたのが、当時24歳のレゲエ・シンガー、ジミー・クリフを主演に抜擢した低予算のジャマイカ映画『ハーダー・ゼイ・カム』だった。

ジャマイカに実在した、アウトローで殺人犯でもある少年をモデルにして描いたこの映画は、ジャマイカの首都の現実や、ハードな裏社会の様子が描かれたものだった。
そして、サウンドトラックとして映画を彩ったレゲエという音楽の、当時メインストリームのロックから失われつつあったリアリティや、熱くアグレッシヴなパワーは、音楽ファンやミュージシャンたちに大きな影響を与えた。

当時のパンク・ロックやパブ・ロックの、イギリスの若いミュージシャンたちも影響を受け、特にクラッシュは、レゲエやダブを本格的に取り入れた。
そのクラッシュの影響でレゲエを聴くようになったというパンクスや若いロック・ファンも多かったと思う。わたしもそのひとりだった。クラッシュはわれわれにとってのレゲエの伝道師のような存在でもあった。

その元クラッシュのジョー・ストラマーとメスカレロスによるこの大名曲のカバーは、2003年にリリースされたシングル「コーマ・ガール」のカップリングとして収録された。
オリジナルに近い王道のアプローチは愛に溢れた演奏で、やっぱり彼にはレゲエがよく似合う。

元々クラシック音楽の作曲家を目指していながら、パブでロックを演奏するようになった変わり種のアーティスト、ジョー・ジャクソンは、1978年にデビューした。

これは1980年にシングルとしてリリースしたカバーで、スピード感があり、メリハリのあるアレンジがめちゃカッコよくて、わたしは気に入った。

↓ ジミー・クリフのオリジナル。