【カバーの快楽】
Rod Stewart – Downtown Train
Rod Stewart – Downtown Train
1989年に発売された『ストーリーテラー~ザ・ベスト・オブ・ロッド・スチュワート』に初収録され、シングル・カットもされた曲で、全英10位、全米3位の大ヒットに。80年代は低迷気味だったロッドにとって、「アイム・セクシー」以来11年ぶりの英米同時TOP10入りだった。
叶わぬ恋と知りつつも、「今夜、ダウンタウン・トレインであの娘に会えないかな。毎晩そればかり考えている」と歌うラヴ・ソングで、原曲はトム・ウェイツの作だ。彼が1985年に発表したアルバム『レイン・ドッグス』に収録され、シングル・カットしている。
なにやら英・米しゃがれ声対決みたいだけれど、最小限のアレンジによるトム・ウェイツのももちろん味があって良い。どことなく寂しげなギターが印象的だ。
ロッドのバージョンは、敏腕プロデューサー、トレヴァ・ホーンによって当時流行のサウンドに仕上げられている。いかにもあの時代のサウンドで、なんだか懐かしい。
トム・ウェイツのオリジナルを先に聴いてからロッドのバージョンを聴くと、「こんなポップな曲だったんか!」と驚くことになるはずだ。ボブ・ディランの曲をバーズのカバーで聴いたときのように。
華やかなアレンジに負けてない、ロッドのパワフルで感情をかき立てる歌声はやはりさすがだ。