Lou Reed – White Light / White Heat
ルー・リードの魅力は、「ワイルド・サイドを歩け」のようなクールな曲や、「パーフェクト・デイ」のようなロマンティックな、静かな夜に聴きたい音楽だけではない。
1974年に発表された、ニューヨークでのライヴを収録したライヴ・アルバム『ロックンロール・アニマル(Rock ‘n’ Roll Animal)』では、そんなクールなイメージを覆す、激しいライヴを聴かせている。
アルバムはたったの5曲しか入っていない。13分もある「ヘロイン」など、長い曲がいくつかあるからだ。しかも5曲中4曲がヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代の曲だ。もうすでに3枚もソロ・アルバムを出した後でのライヴ盤だけに、なぜそういう選曲になったのかは謎だ。
もしかすると単純に演奏の出来の良さやライヴの激しさが伝わるテイクを選んだだけなのかもしれないが、たしかにこの「ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート」などは物凄いテイクで、この素晴らしいライヴ・アルバムのハイライトと言えるだろう。
凄いのはルー・リードだけでなく、参加している2人のギタリスト、ディック・ワグナーとスティーヴ・ハンターによるツイン・リードだ。
彼らはセッション・ギタリストで、アリス・クーパーやミッチ・ライダー、キッスなどと仕事をしていた、デトロイト界隈で活動するギタリストだった。
最初聴いたときはあまりの凄まじさに唖然としたが、デトロイトのギタリストと聴いて納得した。
ワグナーとハンターは、まるでニューヨークに乗り込んできたデトロイトのならず者のようだ。
気取ったニューヨーカーたちを2人がかりでボッコボコにして、完膚なきまでに叩きのめすような、凄まじく暴力的なギターを聴かせる。