ルー・リード/レディ・デイ(1973)

BERLIN

【70年代ロックの快楽】
Lou Reed – Lady Day

アリス・クーパーのプロデュースを務めていたボブ・エズリンを迎えて製作された3rdアルバム『ベルリン(Berlin)』は、ベルリンを舞台に、金持ちで世間知らずの男と、ショーガールのキャロラインの物語を軸にしたコンセプト・アルバムである。

アルバムはドラッグや売春、鬱病、精神の混乱、DV、自殺などを扱った、暗く悲劇的な内容だ。アメリカでは酷評され、全米98位とセールス的にも成功しなかったが、イギリスでは全英7位と、前作『トランスフォーマー』(全英13位)を上回るヒットとなった。

こういうアメリカとイギリスにおける売れ方の違いというのはよくあるものだ。内向的で繊細でアーティスティックなものを好むイギリスと、外向的で明るくてキャッチーなものを好むアメリカ、みたいなイメージがある。
もともと兄弟みたいな国なのになんでこうも違うかな。
もしかすると、イギリス人でも外向的でポジティヴでアウトドアな人たちが新大陸へと出て行って、内向的でひきこもり体質でインドアの人たちが大英帝国の島国に残ったのかもしれない。知らないけど。

アルバムは、ドイツという舞台もそうだけれども、音楽的にもどこか欧風の頽廃的な雰囲気がある。
話はいろいろ複雑なようだけれど、富豪の息子である主人公と、男あさりが好きなショー・ガールのキャロラインと、麻薬中毒のジムという男の、ホモセクシュアルも含むらしい複雑な三角関係から起因しており、最後は子供を奪われたキャロラインが悲嘆にくれて自殺するという物語である。

この曲はそんな物語の冒頭、キャロラインが安宿で生活しながらバーで歌うようになった日々を描いた曲だ。