デペッシュ・モード/エンジョイ・ザ・サイレンス (1990)

VIOLATOR

【80年代ロックの快楽】
Depeche Mode – Enjoy the Silence

デペッシュ・モードの7枚目のアルバム『ヴァイオレーター』からのシングルで、全英6位、全米8位の大ヒット曲だ。

発表されたのは1990年1月だが、録音されたのは1989年末だ。80年代を象徴するサウンドが、一時代の完熟と終焉を同時に告げるような、完成度と転換の両方を併せ持っている。

いかにも80年代ロックというフワフワとした、芯の無い人工的なサウンドだが、ロックが鉄砲水のような勢いで復権していた1990年発表ということもあり、彼らなりにシンプルなロック的なものに回帰しているような気がする。

イギリス出身のいかにも英国的なバンドだが、このアルバムはアメリカでもめちゃくちゃ売れた。

わたしはやはり楽器でも人間臭い、生臭い生音が好きなので、普段好んで聴くタイプのサウンドではないが、よくわからない食材に不思議な色のソースがかかった常温のオシャレ料理みたいで、たまに食べると楽しい。これだけでお腹いっぱいにはならないが、このぐらいがちょうどいいと思えるときもある。