Grand Funk Railroad
“Grand Funk” (1969)
“Grand Funk” (1969)
2023年8月某日
娘が帰省。千葉のロッキンのフェスを見に行ったそうだ。サンボマスターとマキシマム・ザ・ホルモンが気に入ったらしい。この暑いのに、また暑苦しいものを。
わたしも負けじと暑苦しいものを聴いてみようと思い、アメリカン・ハード・ロックの先駆者であり、すべてのヘヴィ・ロックの祖とも言える、グランドファンク・レイルロードの2nd『グランド・ファンク』(1970) を聴いてみる。真っ赤なジャケットがいかにも熱そうだ。
家族が出かけた隙に爆音で聴いてみた。
期待にたがわぬ、ゴリッゴリのもの凄い音で暑さを倍増させる。腹にドスンドスンと響いて脳天を揺らす強烈なベースがたまらない。心なしか、底辺仕事の疲労で硬直した筋肉がほぐれていく気さえする。
楽曲はシンプルそのもの。独創的なものではないし、とり立てて面白いものでもない。
若い頃に聴いたときはそのシンプルさゆえに、頭でしか音楽を聴いていなかったわたしには逆に理解できなかったのだろう。
なにしろ彼らは米ミシガン州のフリントの出身だ。ゼネラルモーターズ創業の地である。
自動車工場の重労働で肉体を鍛え上げ、騒音で耳を鍛え上げたに違いない人々のDNAを受け継いだ彼らの音楽は、同じく底辺工場で鍛えつつあるわたしの耳と肉体には今や馴染みやすくなっていたのかもしれない。頭より肉体で味わうロックだ。
食わず嫌い完全克服である。
曲間の静寂に、窓の外から染み込んでくるセミの大合唱がよく似合う。
(Goro)