The Chicago Transit Authority (1969)
今日は初期ブラス・ロックの代表格の2枚を聴いてみる。
当時はこの2組と、先月【日本が愛した洋楽】#10で取り上げたチェイスと含めて「3大ブラス・ロック」と称された。
まずはシカゴの1st『シカゴの軌跡』(1969)から。
デビュー・アルバムなのに、ベスト盤と間違えそうなタイトルだ。しかも2枚組である。
彼らはこのアルバムのタイトルにもなっている、ザ・シカゴ・トランジット・オーソリティー(シカゴ交通局)という名前でデビューしたが、本物のシカゴ交通局から訴訟を起こされて、2ndからはシカゴに改名している。
アルバム冒頭、盛大にラッパが吹き鳴らされる高カロリーなイントロダクションだけですでにお腹いっぱいの気分だが、その後もボリュームたっぷりの、苦手料理のフルコースみたいな感じで食傷する。
吹きまくるブラス、叩きまくるドラム。弾きまくるギター、技術がすごいバンドなのはよーくわかったが、わたしは残念ながら速弾きや超絶技巧のひけらかしには人一倍無関心だ。正直、うるさいばっかりで、少しも心に刺さらなかった。
アルバムはいきなり全米17位と成功し、その後も「長い夜」や「サタデイ・イン・ザ・パーク」などのヒットで人気を高め、アルバムを出すたびに全米1位を獲得し、栄華を極める。
それらのヒット曲は昔から知っていたが、特に好きだと思ったこともなかったので、アルバムを聴くのは今回が初めてだった。
やはりというか、わたしの肌には合わないようである。
Blood, Sweat & Tears (1969)
ブラス・ロックをもう一丁。
ブラッド・スウェット&ティアーズの2nd『血と汗と涙』(1969)を聴いてみる。プロデューサーが『シカゴの軌跡』と同じ、ジェイムズ・ウィリアム・ガルシオと知り、いきなり少し憂鬱になるものの、エリック・サティをアレンジした雰囲気のある変奏曲で始まり「おっ」と思わせる。
もともとアル・クーパーが立ち上げたバンドだったが、この2ndではもうアル・クーパーはいない。代わりに加入したデヴィッド・クレイトン・トーマスのソウルフルな歌声とファンキーなアレンジがよく合ってる。キレのいいタイトな演奏は力強いもののメリハリが効いててうるささを感じさせない。曲も良い。3曲知ってたな。
やろうとしてることがはっきりしていて、独創性もあって、好感が持てる。名盤だと思う。
食わず嫌い、克服である。
決してブラス・ロックが無理というわけではなかったのだ。シカゴが無理だったのだ。
(Goro)