“Earthquake” (1979)
ジミヘンかぶれのドイツ人ギタリスト、ウリ・ジョン・ロートがスコーピオンズを脱退した後に結成した3ピース・バンド、エレクトリック・サンを聴いてみた。1979年発表の1stアルバム『天地震動〜ジミ・ヘンドリックスの魂に捧ぐ』だ。
アルバムの原題は”Earthquake”(地震)だけなので、ジミヘンの魂がどうのというサブタイトルは日本のレコード会社が勝手に付けたものなのだろう。
まあしかし聴いてみるとそのサブタイトルも妥当に思えるほど、全編ジミ・ヘンドリクスかぶれを隠そうともしない潔さが清々しいほどである。たぶん「ジミヘンみたいだな」と言われるのがウリさんにとって最高の褒め言葉になるに違いない。
まあしかし賛否両論あるのだろう。ジミヘンに対してこだわりの強い人ほど、こんなものは認めてやらん、と言うかもしれない。しかしわたしはそこまでこだわりもないので、大いに楽しんだ。スコーピオンズよりもこっちのほうが好きなぐらいだ。
歌はギターほど得意じゃないようだが、まあジミヘンだってそんなに上手いわけじゃない。一生懸命さは伝わってくるし、どっちにしろメインはギターなので、歌なんてこれぐらいでも充分だ。あんまり上手いと逆に引く。
ちなみにこの当時ウリさんは、ドイツでは有名なフィギュアスケーター、モニカ・ダネマンを恋人にしていた。彼女はなんと、ジミ・ヘンドリックスの元恋人である。ジミが死んだあの日、彼の部屋にいて、救急車を呼んだ人である。そして証言に不可解な点が多いことで疑惑の目を向けられ、「地獄のスケーター」とも呼ばれた女性である。
ここまでくると、彼女への愛なのか、ジミヘンへの愛なのか、それともねじれた自己愛なのか、愛が深いのか闇が深いのかもよくわからなくなってくるが、まあとにかく凄いなとしか言いようがない。
彼女はスケーターであると同時に画家でもあり、本作のジャケットも彼女が描いたものである。
(Goro)