ロッククラシックの名盤100選

キッド A

ロックはもう、終わってしまったのだろうか。

新しいロックバンドは次々に出てきている。面白いバンドもたくさんいる。
昔のバンドのほうが良かったと思う人もいれば、今のバンドのほうがいいと思う人もいるだろう

しかしジャズやクラシックだって新しいアーティストはどんどん出てくるし、もちろん聴いてる人だって世界中に大勢いるが、それでもジャズやクラシック音楽をリアルな現代の音楽だと思っている人は少ないだろう。
それらの音楽の順調な発展はどこかの時点で停まり、他の音楽スタイルに主役の座を明け渡し、人気は衰退した。
今は一部の好事家のみが愛好している音楽スタイルである。
今やロックという音楽スタイルもそのような、すでにピークを超えて、マニアックなアーティストだけが細々と続け、愛好家だけが聴き続けているものなのかもしれない

ジャズやクラシックのように、ロックもまた順調な発展がどこかの時点で停まったとすれば、わたしがすぐに思い浮かべるのはレディオヘッドである。
レディオヘッドは2000年の『キッドA』以降、ロックではないもの、ロックファンが最も嫌うはずのスタイルを志向し続けたが、これが世界中で支持された。
昔ながらのロックバンドとして頂点にいたオアシスよりもっと支持された

『キッドA』を聴いたときにわたしはとてもせつない気分になった。終末感がスゴい、と思った。
まるで世界の終わりのような、ある意味では美しいその音楽は、同時にロックがこの地球にもたらした幸福なお祭り騒ぎの終焉のようでもあった。あの熱狂的なダンスパーティの照明と機材のスイッチを片っ端からパチッパチッとオフにしていくような音楽に聴こえた。
荒涼とした祭りのあとの地に「この先行き止まり」の立札を見つけてしまったような気分だった

しかしいつの世も物好きな若者たちはいるもので、この期に及んでもまだロックをやろうとする若者も後を絶たない。
なんだかんだ言ってもわたしは、あらゆる音楽ジャンルの中でも特にユーモアにあふれ、変に病的で、やけに節操がなく、真実もウソも希望も絶望も怒りも感動も人間臭い歌の中からリアルに聴こえてくるこのロックミュージックが大好きなのだ。
世代は違っても、その思いを共有できる物好きな若者たちに期待しよう。
このブログは、そんな若者たちにも読んでもらえるといいなと思う

昭和世代のわれわれがもう何十年も生きてきて学んだのは、「古いものより新しいものが優れている」なんてことは決してない、ということだ。
そこには違いがあるだけで、絶対的な優劣があるわけではない。
あとはもう好みの問題であり、楽しみ方は自由だ

このブログはそんな、20世紀の幸福な時代のロッククラシックの名盤を100枚選ぶつもりだ。
選ぶ基準はもちろん、わたしが好きかどうかだけである。残念ながらそれ以外では選びようがない。
そして1アーティスト1枚ずつ、ルールはそのひとつだけだ

過去のロックの遺産は膨大である。
ロック好きを自認している人も、実際はそのほんの一部しか聴いていないに違いない。わたしもそうだ。
その人にとって、まだ聴いていないものはそのすべてが「新しい音楽」のはずである

そんな年寄りにとっても若者にとっても、「新しい音楽」と出会うきっかけにでもなればいいなと思いつつ、これまでわたしの人生を幸福なものにしてくれた素晴らしい音楽に感謝の気持ちを込めて、全力で書きたいと思います。

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