2003年にデビューしたカサビアンは、21世紀にデビューしたイギリスのロック・バンドで最も成功したバンドと言われている。
この当時、何度目かの〈ロックンロール・ムーヴメント〉が訪れ、注目に値する新しいロックバンドがたくさん出て来たけれども、わたしはとくにこのカサビアンが好きだった。
彼らの音楽は、他の同世代のロックバンドよりも、独特の雰囲気を持つ個性的な音楽だったのだ。
ストーン・ローゼスのサイケデリックな浮遊感とグルーヴを受け継ぎ、プライマル・スクリームのエレクトロニカとワイルドな色気を受け継ぎ、オアシスのソングライティングとハードなサウンドを受け継ぎ、そしてそのすべてのバンドに通底する60年代ブリティッシュ・ビートから綿々と連なる〈英国ロック〉の遺伝子を正統的に受け継いでいた。わたしが好きなのもあたりまえだ。
だからと言って彼らは決してクラシック・ロックをなぞっただけのバンドなどではない。彼らは最先端のサウンドを創造しながら、英国ロックの王座に就いた驚異の変異株だったのだ。
彼らの醸し出すあの不穏な雰囲気も好きだった。デビュー当時はメンバーが人里離れた場所で共同生活をしていることが報じられ、なにやら怪しげなカルト組織のアジトみたいなものを想像させたものだった。
以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきカサビアンの至極の名曲5選です。
Club Foot
カサビアンのブレイク作となったシングルで、全英19位のヒットとなった。この「不穏」なグルーヴが堪らない。2000年代ロックの屈指の名曲と言えるだろう。
歌詞はそうでもないが、PVは政治的メッセージが色濃く、戦車の前に立ち塞がる女性はあの天安門事件を想起させる。
L.S.F.
1stアルバム『カサビアン』からのシングルで、全英10位のヒットとなった。
一聴して、プライマル・スクリームの再来!と喜んだものだ。もちろん、プライマルを上回るカサビアンの個性と新しさもある。
L.S.F.は”Lost Souls Forever”(永遠に失われた魂)の略だが、しかし彼らはいつも抵抗や反逆をテーマにしていて、クラシック・ロックの魂を失っていない数少ないバンドと感じたものだ。
Empire
2ndアルバム『エンパイア(Empire)』からのシングルで、全英9位のヒットとなった。
なにか、サウンドが膨張して、帯電して、今にも閃光を放って破裂しそうな緊張感のようなものを感じる、独特のサウンドだ。歌詞は反戦をテーマにしている。
Underdog
3rdアルバム『ルナティック・アサイラム(West Ryder Pauper Lunatic Asylum)』のオープニング・トラック。
全英1位となったアルバムはさらなる進化を遂げ、この曲も激しく攻撃的でありながらメロディアスであることを両立させたカサビアンらしい21世紀のロックだ。
Fire
3rdアルバム『ルナティック・アサイラム』からのシングルで、全英3位の大ヒットとなった彼らの代表曲。彼らの魅力が全てつまったような、不穏で、実験的で、異形で、ポップで、そして圧倒的にカッコいい名曲だ。
選んだ5曲を続けて聴けるYouTubeプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。
♪プレイリスト⇒はじめてのカサビアン【必聴名曲5選】はこちら
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はじめてのカサビアン【必聴名曲5選】5 KASABIAN Songs to Listen to First (goromusic.com)
ぜひお楽しみください。
(by goro)