ザ・パステルズ「ミリオン・ティアーズ」(1984)

サック・オン・ザ・パステルズ

【80年代ロックの快楽】
The Pastels – Million Tears

続いてこのパステルズもスコットランド出身だ。

ひさしぶりに聴いたけど、やっぱりヘロヘロだなあ~。でも面白い。イントロがムダにカッコよくて笑える。
バイクに乗ってる写真だけど、そんな暇があったら練習しろ、とでも言いたくなる。

フリッパーズ・ギターも夢中だったこのパステルズを初めて聴いたときはそのヘタクソさに、このわたしでさえイスからずり落ちそうになったものだった。
でも最初のうちこそ、なんだかよくわからないヘンテコなものというかんじだったけど、おそるおそる何度も聴いているうちになんだか中毒みたいになってきて、逆になにが悪いのかわからなくなってきて、そんなふうにすっかり好きになってしまった。
こういうヘンなのも面白いなあ、なんて思い始めてから、だんだんなんでもイケるようになってきた。ストライクゾーンが大幅にひろがって、そのうちワンバウンドでもそれはそれでアリだと思ったり、それがわたしが90年代に英・米のインディーズ・アーティストを聴きあさり、音楽にのめりこむきっかけになったというわけだった。

実はヴァセリンズはこの同郷の先輩のパステルズに見いだされて、レコード契約したのである。
その意味ではパステルズはわたしにとってもカート・コバーンにとっても恩人である。

ちょうどさっき、ずいぶん前に録画してあったダウンタウンの音楽番組を見た。KANA-BOON、MAN WITH A MISSION、[Alexandros]、キュウソネコカミ…、それにしてもまあ、これに出てきたバンドに限らないけど、日本の若いロックバンドってなんだかすごく上手いなあという印象がある。それに素晴らしいユーモアのセンスを持ち合わせているし、オリジナリティもあり、それをまたとても真面目にストイックに追及している印象もある。
エラいなあ。

そんな時代にこんなものを薦めてるなんて、われながらちょっと恥ずかしくなるな。これが青春でした、なんてとてもじゃないけど言えない。
すいません。われわれの時代はこんなんだったんです…なんて、ものすごくローテクで一瞬で消えた古いアイデア家電みたいなものをおそるおそるお見せしているような気分だ。
まあ、だれも聴かんわなあ…。

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