No.061 レナード・コーエン/ハレルヤ (1985)

VARIOUS POSITIONS
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その61
Leonard Cohen  Hallelujah

昨日、レナード・コーエンが82歳で死去したことをネットのニュースで知った。

この≪500≫でも、1カ月ほど前に彼の「スザンヌ」を取り上げたばかりだ。
この「ハレルヤ」もそのうちこの≪500≫で書こうと思っていたものだったけど、哀悼の気持ちを込めて今日書くことにした。
ちょうど今、Youtubeでこの「ハレルヤ」のライヴ映像を見て、感動しているところだ。

しかしわたしは、彼の音楽のほんの一部しか知らない。
1975年発売の『グレイテスト・ヒッツ』を何十年も繰り返し聴き続けてきただけだ。

このアルバムのことは、8年近く前にこのブログの≪名盤100選≫で書いた。
昨日からそのページにもけっこうな数のアクセスがあるようなのがとても嬉しい。
再録になって申し訳ないが、彼の音楽に対する気持ちはその時に書いたのと今も変わらない。

まるで侘び数奇の趣味を持つ者が茶碗の名品でも扱うかのように、人に見せるつもりもなく、ときどきひとりでそっと箱を開いて愛おしそうに眺めたり、感触を味わったりしながらなんとも言えぬ愉悦に浸るような、あぁやっぱりいいなあ、などと呟いてまた丁寧に箱に戻す、わたしはこの初期のベスト盤をそんなふうに聴いてきた。
人に薦めたことも、貸したことも一度もない。

わたしはもう25年ぐらい前にそのアルバムを買ったが、どれだけ音楽の好みが変わってもこのアルバムだけはずっと変わらず好きで、ときどき聴いてはああやっぱりいいなあ、と愛おしく思うのだ。

その声は静かな感動を呼ぶ。
詩人なのできっと歌詞が重要なのだろうが、残念ながら英語の出来ないわたしには歌詞の意味はわからない。
でもその静かな音楽からは、憤りや嘆きや悲しみは感じられても、けっして絶望が感じられることはない。

下の動画は2009年頃のものらしいので、彼が75歳ぐらいだろうか。
この年まで歌い続けた人でなければ決して出せないような深みのある素晴らしい声で、名曲が力強く歌われている。

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