No.326 ジミ・ヘンドリックス/アメリカ国歌~星条旗 (1969)

ウッドストック
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その326
jimi hendrix – National Anthem U.S.A star spangled banner

グレイテスト・ソング、というよりはグレイテスト・プレイというべきだろうけど、このウッドストックでの演奏にこそジミ・ヘンドリックスの真髄があるような気がするので、どうしても選んでおきたいのだ。

結果的にこの演奏はあのウッドストックというイベントを伝説的なロックフェスとして人々の記憶に残ることに大いに貢献した。
そして、公開された記録映画のハイライトシーンでもあった。

ヘンドリクスが生み出したのは、世にもおぞましい、グロテスクな音響である。

「アメリカ国歌~星条旗」は、世界と歴史に対してつねに絶対的正義であるはずの「アメリカ」の生々しい正体である怪物が、悲鳴をあげ、咆哮をあげて、憎悪に燃えながら、そして恐怖に怯えながら、苦悶にのたうちまわる姿のようだった。
まさにそれが1969年のアメリカという国のリアリティのようにも聴こえる。

この演奏もまたロック史上に燦然と輝くロックンロールマジックの瞬間に違いない。

わたしは16歳のときにこれを聴いてから、不快だとか、悪だとか、憎悪だとか、狂気だとか、恐怖だとか、そんなネガティヴな感情のリアリティまでを追求しようとしているのがロックという音楽なんだ、と理解して聴き続けてきた。

ロックミュージックはハッピーでノリノリでオーイエーだけではないのである。

だから面白い。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする