Dr.John – Right Place Wrong Time
米国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のドクター・ジョンは、1967年にデビューした。
元々はギタリストとして活動していたそうだが、1961年に友人をかばって左手に銃弾を浴び、薬指が動かなくなったことでピアニストに転向したという。
ニュー・オーリンズはジャズが誕生した街として知られる。
ポップス畑ではファッツ・ドミノがその扉を開いたゴッドファーザーとして知られるが、このドクター・ジョンはニューオーリンズのジビエを使った濃厚なR&B煮込みにブードゥーの呪いで味を調えた、好事家にはたまらない独特のニューオーリンズ・ロックを確立した。
この曲は彼の6作目のアルバム『イン・ザ・ライト・プレイス』の冒頭を飾る曲で、シングルカットされて全米第9位の大ヒットとなった。これが彼の最大のヒットとなった。
同じニューオーリンズ出身のミーターズがリズム・セクションで参加していることもあり、ファンク色が濃いものになっている。プロデューサーはアラン・トゥーサン。
ドクター・ジョンは2019年6月6日に心臓発作を起こし、この星での77年の旅を終えて去った。彼にしか生み出せなかった独特の音楽は、この星にしこたま遺されたままだ。やったぜ。
わたしは彼の音楽を多く聴いたわけではないけれど、ロックを聴きながらもっとディープなものを、さらにディープなものを、と求め続けると、深く昏い森の奥の、昼でも光の差さない沼地のような場所で、この呪術師の奏でるやけに楽し気な音楽に出会うのである。
ぜひ一度旅してみることをお薦めする。