クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング/オハイオ(1970)

So Far

【70年代ロックの快楽】
 – Ohio

1970年の5月4日、米国オハイオ州のケント州立大学において、ベトナム戦争に反対する学生たちのデモ集会に対して州兵が発砲し、4人が死亡、9名が負傷した。
死亡した学生のうちのひとりは、デモに参加したわけでもない、教室を移動している途中の女子大生だった。

ニール・ヤングはこの事件に憤り、一晩で曲を書き上げ、クロスビー、スティルス&ナッシュを従えてレコーディングし、わずか10日後にはシングル・レコードとして店頭に並んだという。

憤怒に燃えるニールの形相が目に浮かぶような、熱く激しい演奏だ。彼を怒らせたら、誰も止められない。

国土と国民の命を守るために存在している軍隊が、丸腰の自国民に向けて発砲するなど、どのような理由があっても許されることではない。理解も出来ない。
親が自分の子供を銃で撃つようなものだ。頭の狂った、異常者の仕業でしかない。

そしてちょうど30年前の今日、1989年の6月4日にも同じような事件があった。
中華人民共和国北京市の天安門広場で、やはり民主化を求める学生を中心としたデモ集会に対して、中国の軍隊「人民解放軍」が、学生や一般市民に向けて無差別に発砲し、戦車で鎮圧した。
オハイオの事件と大きく違うところは、その死者が1万人以上であることだ。何千人かの親たちが一晩ほどで、総計1万人以上もの自分たちの子供を一気に殺害した、世にも異常な大虐殺である。

中国共産党政府はこの大虐殺の全容をひた隠しにし、30年経った今も国民が知ることは出来ない。

しかしちょうど昨日、米国のポンペオ国務長官が中国政府に対し、天安門事件の全容解明とウイグル族などへの弾圧をやめるよう要求した。
これは画期的なことだ。わたしは心の中で喝采を送った。

わたしは政治のことなどそもそもよく知らないので、心の中とは言え米国の政権に喝采を送るなんて、生まれて初めてのことかもしれない。
あのトランプという大統領は、先日の来日時の、北朝鮮の拉致問題に対する協力的な態度もそうだったけれども、ずいぶん印象が変わった。ただわたしがマスコミのトランプ批判に洗脳されていただけかもしれないが。