スペンサー・デイヴィス・グループ/アイム・ア・マン(1967)

Best of Spencer Davis

【60年代ロックの快楽】
Spencer Davis Group – I’m a Man

「アイム・ア・マン」というとボ・ディドリーのブルース・ナンバーを思い出すけど、この曲はスペンサー・デイヴィス・グループのオリジナルである。ヴォーカルのスティーヴ・ウィンウッドと、プロデューサーのジミー・ミラーの2人によって書かれ、全英9位、全米10位のヒットとなった。

米国ブルックリン出身のジミー・ミラーは、もともとドラムやパーカッションの奏者で、ブリティッシュ・ビート・バンドをアメリカ南部の味付けで料理して、ロック史に残る名盤を数多く輩出したことで知られる。その最初の成功がこのスペンサー・デイヴィス・グループの「ギミ・サム・ラヴィング」と「アイム・ア・マン」のシングルだった。

この1年後に、『サタニック・マジェスティーズ』のしくじりで死にかけのローリング・ストーンズにジミー・ミラーは雇われる。
ストーンズのメンバーにどんな魔法をかけたのか知らないが、彼らの代表曲となるシングル「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」をプロデュース、さらには『ベガーズ・バンケット』『レット・イット・ブリード』と言った米国南部テイストが濃厚な名盤を立て続けに世に送り出し、ブリティッシュ・ビートの時代を終わらせ、ロックの新たな地平を切り拓くことになる。

キーボードを弾きながら歌っているのがスティーヴ・ウィンウッド。ミック・ジャガーやエリック・バードンとタメを張れるぐらいのソウルフルなヴォーカルだが、このときたったの19歳。当然だけれど、天才ともてはやされた。

バンド名になっているスペンサー・デイヴィスはギタリストだ。ちょっと存在感が薄い印象だが、やはりグループの柱だったのだろうか。
日本で言ったら内山田洋とクールファイブみたいなものだろうか。