ヴァン・ヘイレン/オー・プリティ・ウーマン(1982)

ダイヴァー・ダウン

【カバーの快楽】
Van Halen – Oh, Pretty Woman

ヴァン・ヘイレンの5枚目のアルバム『ダイヴァー・ダウン(Diver Down)』からのシングルで、全米12位のヒットとなった。
ちなみに「ジャンプ」で大ブレイクする前の初期ヴァン・ヘイレンにとってトップ20入りしたヒット・シングルは、「ダンス・ザ・ナイト・アウェイ」とこの曲の2曲だけである。

オリジナルはロイ・オービソンの1964年の大ヒット曲だ。
1990年にはリチャード・ギアとジュリア・ロバーツの主演の映画『プリティ・ウーマン』の主題歌に使用され、映画は世界的なヒットとなったのはご存知の通りだ。

アルバム『ダイヴァー・ダウン』は12曲中5曲がカバーで2曲が短いインストという、なんだかやっつけ仕事みたいにも見えるアルバムだが、どうも所属レコード会社のワーナーから「みんなが知ってる曲をたくさん入れれば売れるんじゃないか」という一見超テキトーな提案に従って作られたらしい。

しかも結果は全米3位となって400万枚を売るという、デビュー以来最高の売り上げとなり、ワーナーの超テキトーな思惑通りになった。

ちなみにヴァン・ヘイレン兄弟は、いちばん嫌いなアルバムは?と訊かれて、口をそろえてこのアルバムを挙げたという。

難しい世界だ。音楽業界って。

でもこういう芸術的意図とは別の思惑で制作されたものがロックンロール・マジックを起こして、多くの奇跡的な名曲が生まれてきたのも事実だ。このカバー・ソングの中にロックンロール・マジックの瞬間がないともいえない。わたしが聴いた限りでは、ないこともない。

動画は、静止画像で音のみのものを付けておくが、これは音質も良くてお薦めだ。

当時のPVは、イントロとしてアルバム5曲目のインスト「イントルーダー」をくっつけている。これは曲が短かめだったので、PVの長さを延ばすためだったという(逆効果のような気もするけれど)。
そしてこのPVは、MTVでは史上初めての放送禁止措置となった。
見ればわかるけれども、小人たちが女性を縛って吊るし、セクハラをしまくる、世にも不快な映像から始まるからだ。今の時代なら大炎上必至だ。

一応このリンク動画も貼っておくけど、ホントにくだらなくて冗長なPVなので、物好きな人以外にはあまりお薦めはできません。

↓ 世にもくだらないオリジナルPV。

↓ ロイ・オービソンのオリジナル。

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