【追悼】ギャリー・ヤング(元ペイヴメント)

Original Pavement drummer Gary Young has died, aged 70

ギャリー・ヤング(Gary Young)と言っても知っている人は少ないだろうが、1992年にデビューした米カリフォルニアのバンド、ペイヴメントの初代ドラマーだ。

ギャリーはペイヴメントが使った練習スタジオのオーナーだったが、ドラマーがいなかった彼らのためにドラムを叩いたことがきっかけで、バンドに参加するようになった。

結局、1stアルバムはギャリーがすべて叩いたが、決して上手いわけでもないのに、なぜか存在感は大きく、どこかすっとぼけた味と、妙に高揚させられるノリがあった。ペイヴメントの登場が「ロー・ファイ」という新しい潮流を作ったのも、ギャリーのあのドラムのおかげと言っても過言ではない。ドラマーが替わった2ndアルバムでペイヴメントは商業的に成功し、ブレイクを果たして何よりだったが、正直、わたしには1stほどの面白さは感じられなかった。

他のメンバーより10歳以上も年上で、デビュー時にはすでに39歳だった彼は、当時最盛期だったオルタナティヴ・ロックにはなんの関心なく、「オレが好きなのはイエスだ!」と堂々と言い放ったものだ。

ペイヴメントが注目を浴びて軌道に乗ると、彼は若いドラマーに席を譲り、さっさと脱退した。その後はrockin’ on誌上で真面目な人生相談のコーナー「おやじに訊け!」を担当していた時期もあった。

長期間体調を悪くしていて、昨日、とうとう亡くなったという。享年70歳。

しかしなによりも、今回の訃報をペイヴメントのフロントマン、スティーヴ・マルクマスが自身のSNSで発表したというのがわたしは嬉しかった。もう脱退して30年が経つというのに、彼は長文のコメントの最後でこう締めくくっている。「ギャリーはペイヴメントがステージに上がる度に生きているし、それは今後も続いていくだろう」と。

R.I.P.
(Goro)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする