No.074 バグルス/ラジオスターの悲劇 (1979)

ラジオ・スターの悲劇+9
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その74
Buggles – Video killed the radio star

当時わたしが大好きだった「ラジオ」は、音楽を世に広める役割を一身に担っていたが、それが「ミュージックビデオ」にとって替わられようとしていた時代だった。

「ビデオがラジオのスターを殺してしまった」と繰り返し歌われるこの歌は、70年代が終わろうとする1979年9月に、イギリスのニューウェーヴバンド、バグルスが発表して、イギリスでもオーストラリアでも大ヒットした。
日本でもラジオから繰り返し、繰り返し流れていた。

おふざけみたいな曲に聴こえるが歌の内容は、この時代のポップミュージックの変化や危機感について鋭く本質をついていると思う。
このサウンドも当時は斬新だったのだ。

そしてこの2年後の1981年、MTVが開局する。
そのMTVで最初に流されたミュージックビデオが、この曲だった。
ブラックジョークみたいな話だ。
さらにその1年後には、あの「スリラー」がMTVを席巻し、世界を席巻する。

ラジオそのものは80年代以降も、そして今でもあるけれど、MTVが世に音楽を広める強大な装置となってからは、売れる音楽のタイプも変わったように思う。

少年時代からラジオの音楽に夢中だったわたしは、MTVにはあまり夢中にならなかった。
決して退屈な音楽ばかりというわけではなかったはずだけど、わたしはリアルタイムの80年代の音楽に次第に興味を失っていき、17歳になった頃には60年代のレコードに夢中になっていった。

そうやってわたしは時代を遡り、文字通り≪ラジオスター≫たちが残した素晴らしい音楽をたくさん知ることができたのだから、それはそれでよかったのかもしれない。

今思えば、ポップミュージックほど時代の流れに敏感なものも無いわけで、技術革新や社会情勢や商業的事情に翻弄されて変化していく、その変化もまた楽しいものだ。

80年代の音楽にも素晴らしいものはたくさんあるし、独特の80年代サウンドもまた、他の時代には無い音が聴けたりしてあらためて面白かったりもする。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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