ライド/チェルシー・ガール(1990)

Chelsea Girl

【90年代ロックの快楽]
Ride – Chelsea Girl

英オックスフォード出身のライドは1990年、当時飛ぶ鳥を落とす勢いのインディ・レーベルだった、クリエイションからデビューした。この曲がそのデビュー・シングルだ。

ライドの登場は、鳥肌が立つほど衝撃的だった。

若者特有のフラストレーションの大風船を破裂させたみたいに、力任せに大音量でギターをかきならす。歌メロはシンプル極まりないけど、なぜかポジティヴなエネルギーに溢れていて、夢にときめき明日にきらめく青春の香りが濃厚に立ち上る。

それまでは、歪んだ音のギターをやかましく鳴らすバンドなんてのはだいたいが悪者風かネガティヴなやつなイメージだったのだ。ストゥージズとか。MC5とか。セックス・ピストルズとか。ジーザス&メリー・チェインとか。

しかしライドのお坊ちゃんたちは、轟音ギターをかき鳴らしながら、爽快この上ないポジティヴな新しいロックを創り出した。作り込まれた養殖ロックではない、天然のロックを。

若くて、未熟で、無垢で、だから怖いものなし、それが音楽からあふれ出ていて、その全部が眩しいほど魅力的に思えたものだ。この曲もまさに「初期衝動」という言葉が一番似合うデビュー曲だ。

当時24歳のわたしは60年代や70年代の古いロックばかり聴いていたけれど、ライドの衝撃のおかげで「よし、これからはリアルタイムのロックを聴くことにしよう」と思えたのだった。

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