90年代最高のギタリストが生み出す独創的なグルーヴ 〜レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン『レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン』(1992)【最強ロック名盤500】#38

Rage Against The Machine

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【最強ロック名盤500】#38
Rage Against the Machine
“Rage Against the Machine” (1992)

この衝撃的なジャケットは、1963年に南ベトナム政権が行った仏教徒弾圧に抗議してガソリンを被って焼身自殺した高僧をアメリカ人ジャーナリストが撮影した、世界的に有名な写真である。

このジャケに象徴されるように、米ロサンゼルス出身のバンド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは「政治活動としての音楽」を掲げ、政治や社会に対して抗議・糾弾する、過激な楽曲を発表した。

わたしは彼らの左翼的な政治思想にはとくに共感しないし、そのアジテーションのようなラップ・スタイルのヴォーカルも好みというわけではない。

しかしファンクとヘヴィメタルが融合したような硬質でダイナミックなサウンドと、それを牽引するトム・モレロのギターがとにかく好きだ。

レッド・ツェッペリンやブラック・サバスを思わせるヘヴィなリフが生み出す力強いグルーヴ、独創的すぎる驚異のソロ、さらにエフェクターと変態的な技法で生み出す刺激的な音色やスクラッチなど、とにかく表現力の幅が広い変幻自在のギターは、90年代最高のギタリストと言っても過言ではないだろう。わたしにとってレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは、トム・モレロのギターを聴くバンドなのだ。

本作は1992年11月にリリースされた、彼らの1stアルバムだ。政治的でハードな内容にも関わらず、本作は300万枚を売る大ヒットとなった。

彼らのブレイクとその独創的なスタイルは、90年代後半のミクスチャー・ヘヴィ・ロックの先駆けとなった。

(Goro)