スリム・ハーポ『シングス・レイニング・イン・マイ・ハート』(1961)【最強ロック名盤500】#72

シングス・レイニング・イン・マイ・ハート+3

⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#72
Slim Harpo
“Sings Raining in My Heart” (1961)

一見、『雨の日に聴きたいラヴソング』みたいな、J-POPのコンピ盤かと思わせるようなジャケットだが、間違いなく1961年リリースのブルース・アルバムである。しかも名盤だ。

米ルイジアナ州出身のブルースマン、スリム・ハーポの2ndアルバムだ。

もともとはハーモニカ奏者のスリム・ハーポだが、歌がこれまたイケる。ジミー・リード風とも言えるかもしれない、力の抜けた軽い調子の歌声がなぜか耳に優しく、心に響く。そして病みつきになる。

全体に脱力したようなユルい印象だが、そのユルさはまた異文化の音楽の混入にも大らかなブルースであり、それがモダンな印象を与えている。
彼の育った地域は、黒人、白人、ケイジャン、クレオールなど様々な人種が暮らすエリアであり、彼のブルースには、カントリー、ケイジャン、ザディコなど様々な音楽の要素が入り混じっている。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 レイニン・イン・マイ・ハート
2 ブルース・ハングオーヴァー
3 ボビー・ソックス・ベイビー
4 アイ・ガット・ラヴ・イフ・ユー・ウォント・イット
5 スヌーピン・アラウンド
6 バズ・ミー・ベイビー

SIDE B

1 アイム・ア・キング・ビー
2 ホワット・ア・ドリーム
3 ドント・スタート・クライング・ナウ
4 ムーディ・ブルース
5 マイ・ホーム・イズ・ア・プリズン
6 ドリーム・ガール

A1「レイニン・イン・マイ・ハート」は1961年1月にシングルとしてリリースされ、全米34位と、スリム・ハーポにとって初めての全国的なヒット曲となった、代表曲のひとつである。

A4「アイ・ガット・ラヴ・イフ・ユー・ウォント・イット」は1957年にリリースされた彼のデビュー・シングルで、キンクスやヤードバーズをはじめ多くのカバーを生んだ人気曲だ。

そしてそのデビュー・シングルのB面に収録されていたのがB1「アイム・ア・キング・ビー」で、こちらも南部でのローカル・ヒットとなった。ストーンズのカバーでも知られている。

ブリティッシュ・ビートのバンドにも人気が高く、1970年には師匠格のライトニン・スリムと共に初めてのヨーロッパ・ツアーが組まれ、イギリスのミュージシャンたちとのレコーディングも予定されていたが、その直前の1970年1月31日に惜しくも心臓発作で急逝した。46歳だった。


↓ 全米34位となった初めてのヒット曲「レイニン・イン・マイ・ハート」。

↓ デビュー・シングル「アイ・ガット・ラヴ・イフ・ユー・ウォント・イット」。

(Goro)

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コメント

  1. G―大将 より:

    「アイム・ア・キング・ビー」は私も好きなナンバーである。王様バチだぜ!
    雌どもにかしずかれ、オレ様の一刺しでお前を的な男の中の男、ブルーズの中のブルーズ、とにかくオシャレなのだ。良いなぁ~このシリーズ!
    ところで、ストーンズの「ガット・ライブ・イフ・ユー・ウォント・イット
    」はこっからもらったのかな?

    • Goro より:

      王様バチなんて、現実にはいないけどね(笑)
      まあそれも含めてウケたのか、南部ではずいぶん人気の曲となって、スリム・ハーポはその後もハチが出てくる歌を何曲か書いたらしい。

      そう、ストーンズの『ガット・ライブ・イフ・ユー・ウォント・イット』はこれをモジったものです。