エディ・コクラン/サマータイム・ブルース (1958)【’50s Rock Masterpiece】

Eddie Cochran – Summertime Blues (Vinyl) - Discogs

【50年代ロックの名曲】
Eddie Cochran
Summertime Blues (1958)

「働く」ということは、愛だの恋だのと同じぐらい人類の普遍的な営みにも関わらず、働くことについて歌った歌は意外と少ないように思う。
わたしは働いてるか飲んでるか寝てるかぐらいのつまらない人間なので、働くことについての歌はもっと聴きたいものだ。

しかも働くことについての歌は、働くことの辛さや苦しさを歌ったものばかりで、なぜか働く喜びを歌ったものはあんまり聴かない。
それでは社会に出る前の若者たちは、そんな喜びは存在しないかと思ってしまう。わたしもそう思っていた。
そうでもないのにね。

この曲はエディ・コクランが1958年7月というまさに夏真っ盛りにリリースしたシングルだ。全米8位という、彼にとって最大のヒットとなり、エディ・コクランの代表曲として知られる曲だ。夏休みなのに金を稼ぐためにバイトばかりしなければならず、彼女とデートに行くこともできない理不尽さをコミカルに歌ったものだ。

↓ エディ・コクランのオリジナル・バージョン。

この曲はいろんなアーティストがそれぞれ個性的にカバーしている。

たぶん一番有名なのはザ・フーのバージョンだろう。原曲を壊さず、しかし思いきりハードな仕上がりはさすがのカッコ良さだ。

木魚の高速連打みたいな変テコなアレンジなのはT・レックス。
ただし、後年のライヴ動画を見てみるとザ・フーのバージョンに寄せている感じがする。なにか、間違いに気づいたのかもしれない。

米サンフランシスコのバンド、ブルー・チアーは強烈なファズ・ギターで、原曲の夏の爽やかさやユーモアなど微塵もない、超ヘヴィなバージョンだ。酷暑の鉄工所での重労働などを思い浮かべてしまう。

カントリー界の貴公子、アラン・ジャクソンの94年のカバーはブルー・チアーの真逆で、爽やかな風が吹き抜けるような、湿度の低いカラッとしたサマータイム・カントリー・ブルースだ。PVもいかにも田舎の夏!って感じで楽しい。

映画『ラ・バンバ』では、エディ・コクラン役をブライアン・セッツァーが演じてこの曲を歌うシーンがある。これ以上のハマり役はないだろう。

そして、いちばんの問題作はRCサクセションによる、原発を批判した替え歌バージョンだろう。

わたしは科学知識がないのでよくわからないが、原子力発電は危険だという人もいれば、原発を動かして電気代を安くしてくれという人もいる。火力発電は地球を温暖化するからダメだと言う人もいるし、太陽光発電や水力発電は自然を破壊するという人もいるし、風力発電は近所迷惑だという人もいる。

難しい問題だ。

(Goro)

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