イーグルス【名曲ベストテン】EAGLES Greatest 10 Songs

The Very Best of the Eagles

1972年、リンダ・ロンシュタットのバック・バンドとしてロサンゼルスで集められた4人、グレン・フライ(vo,g)、ドン・ヘンリー(vo,dr)、ランディ・マイズナー(b)、バーニー・レドン(g)は、イーグルスとバンド名を付けて独立し、1972年にデビューした。

60年代に花開いた、自由の象徴のような音楽「ロック」は、69年のウッドストック・フェスティヴァルを機にさらなる巨大産業と化していったが、それが果たしてロックの進むべき方向として正しいのかどうかは、まだ誰も答えが見つからなかった。
そしてドラッグと深く結びついたロック・カルチャーは、その代償として多くの才能あるロックスターたちの命も奪った。

学生運動や反戦平和運動も、現実的な成果を上げることなく下火になっていき、ベトナム戦争は泥沼化する一方だった。
世界を変える力を持っていると信じられたロックは、現実にはあまりに無力であり、若者たちの熱狂的な支持は商業主義に利用され、既存の経済社会にあっけなく飲み込まれていった。

そんな時代に登場したイーグルスは、重苦しい空気に風穴をあけるような爽快なサウンドのカントリー・ロックで、「Take It Easy(気楽にいこうぜ)」と歌って若者たちの共感を呼んだ。

イーグルスは大ヒット曲を連発しながらも、本来のスピリットを失っていくロックと、ロックスターたちの享楽的で破滅的な生き方、音楽業界の在り方そのものに「本当にこれでいいのか」と自問自答しながら歌い、それらは変わりゆく時代を映し、やがてひとつの時代の終わりをも歌うことになる。

彼らの音楽は、アメリカの伝統的なブルーグラスやカントリー・ミュージックをベースにしているが、最初の2枚のアルバムはロンドンで録音されていることからも、彼らが最新の英国ロックに憧れていたことがわかる。

カントリー・ロックからスタートした彼らはアルバムを発表するごとに音楽性を拡げていき、オリジナリティあふれるサウンドで世界的な人気を博していった。

以下は、わたしが愛するイーグルスの至極の名曲ベストテンです。

第10位 ピースフル・イージー・フィーリング(1972)
Peaceful Easy Feeling

ジャクソン・ブラウンやJ.D.サウザーなどと共同生活をしていた、ジャック・テンプチンの作品。『イーグルス・ファースト(Eagles)』からのシングルで、全米22位。

リード・ボーカルはグレン・フライ。爽やかに吹き抜ける風のようなアコースティック・サウンドとコーラスが、初期イーグルスならではの心地よさだ。

第9位 魔女のささやき(1972)
Witchy Woman

『イーグルス・ファースト』からの2ndシングルで、全米9位のヒットとなった。
ドン・ヘンリーとバーニー・レドンが書いた、ブリティッシュ・ロックの影響も窺える楽曲だ。リード・ヴォーカルはドン・ヘンリー。

第8位 ドゥーリン・ドルトン(1973)
Doolin-Dalton

西部開拓時代の無法者をテーマにした2ndアルバム『ならず者(Desperado)』のオープニング・トラックで、ドン・ヘンリー、グレン・フライ、J.D.サウザー、ジャクソン・ブラウンの4人の共作。

シングル化はされなかったのでそれほど有名ではないかもしれないが、冒頭のハーモニカからもうグッとくる、哀愁漂う名曲だ。

第7位 呪われた夜(1975)
One of These Nights

4thアルバム『呪われた夜(One of These Nights)』からのシングルで、全米1位となった大ヒット曲。アルバムも初の全米1位に輝いた。

それまでのカントリー・ロック・スタイルとはひと味違うファンキーなテイストも入り、音楽性の拡がりと豊かさを感じさせた。

第6位 懐かしき’55年(1974)
Ol’ ’55

3rdアルバム『オン・ザ・ボーダー(On the Border)』収録。原曲はトム・ウェイツのデビュー・シングルで、初期の代表曲。

アサイラム・レコードの創設者デヴィッド・ゲフィンが新人のトム・ウェイツのデモ・テープをグレン・フライに聴かせたところ、この曲に惚れこんだのだそうだ。

「懐かしき’55年」の過去記事はこちら

第5位 テイク・イット・トゥ・ザ・リミット(1975)
Take It to the Limit

『呪われた夜』からのシングルで、全米4位、全英12位の大ヒットとなり、イーグルス初のミリオンセラーとなった。

ベーシストのランディ・マイズナーが主に書き、彼自身がリード・ヴォーカルを取っている。イーグルスの中でも屈指の美しい名曲だ。
マイズナーのヴォーカルは高音が美しく、当時のライヴのハイライトのひとつでもあった。

「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」の過去記事はこちら

第4位 ニュー・キッド・イン・タウン(1976)
New Kid in Town

5thアルバム『ホテル・カリフォルニア(Hotel California)』からの第1弾シングルで、全米1位の大ヒットとなった。

イーグルスが得意とした軽やかなサウンドと美しいコーラスによるカントリー・スタイルだが、どこか暗い影と複雑な感情を孕んだリアリティのあるロックになっている。

この曲にもまた、アルバム全体に通底する、「ひとつの時代の終わり」の寂しげな虚脱感が覆う。

「ニュー・キッド・イン・タウン」の過去記事はこちら

第3位 ならず者(1973)
Desperado

2ndアルバム『ならず者(Desperado)』のタイトル曲。

シングル・カットはされていないものの、イーグルスの感動的な名バラードとして広く知られ、リンダ・ロンシュタットやカーペンターズ、ジョニー・キャッシュなど、多くのカバーも生まれている。

「ならず者」の過去記事はこちら

第2位 テイク・イット・イージー(1972)
Take It Easy

イーグルスのデビュー・シングルで、グレン・フライが当時共同生活をしていたジャクソン・ブラウンと共作した曲だ。

70年代のウエストコースト・ロックの幕開けにふさわしい、爽快なサウンドと美しいコーラスによるカントリー・ロックの代名詞的な名曲。いきなり全米12位のヒットに。

「テイク・イット・イージー」の過去記事はこちら

第1位 ホテル・カリフォルニア(1976)
Hotel California

泣く子も黙るイーグルスの代表曲であり、日本で最もよく知られた洋楽ロックの名曲と言っても過言ではないほどだ。

一瞬にして心を掴まれる印象的なギターのイントロに始まり、ドラマチックな歌メロ、激しいギター・ソロ、そして謎めいた歌詞と、聴きどころが多すぎるほどの、70年代アメリカン・ロックの到達点だ。

「ホテル・カリフォルニア」の過去記事はこちら

以上、イーグルス【名曲ベストテン】EAGLES Greatest 10 Songsでした。

入門用にイーグルスのアルバムを最初に聴くなら、2003年に発売された『イーグルス・ベスト・コレクション(The Very Best of the Eagles)』がお薦めです。最初に聴くべき代表曲はすべて網羅されています。

オリジナル・アルバムなら『イーグルス・ファースト』と、やっぱり『ホテル・カリフォルニア』がお薦めです。

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