ハンク・ウィリアムス/ヘイ、グッド・ルッキン(1951)

Memorial Album

【カントリーの快楽】
Hank Williams – Hey Good Lookin

コール・ポーター作のオリジナルを元に、ハンク・ウィリアムスが改作した曲。ポップで明るい歌で、C&Wチャート1位の大ヒットとなった。

「はーい、美人ちゃん、僕と一緒に料理でもしないか? 新しいレシピが出来るかもよ。僕は改造フォードを持ってるし、丘の上に楽しいところがあるんだよ」と歌う、なんかわざわざ暗喩みたいにしてあるけど、要はナンパの歌だ。

ハンク・ウィリアムスが明るくポップな曲も死ぬほどダークな曲も書けたのは、最高から最悪までのすべてを短い人生のあいだに凝縮して経験したからだろうか。

若くして一躍カントリー界の大スターとなり、ヒット曲を連発し、女子にモテまくり、結婚して子供も授かりと、一見すべてを叶えたような華やかな栄光の裏で、生まれつきの持病に苦しみ、その苦痛から逃れるために酒や薬の依存症になり、そのために仕事に支障をきたし、周囲の信頼を失い、浮気で妻を苦しめ、家庭が崩壊するなど、苦難の日々を生きたからなのだろう。

1952年の大晦日の夜、彼は体調の悪いまま車に乗せられ、吹雪の中をウェストバージニア州の演奏会場に向かった。
そして日付が1953年の元旦に変わった頃に立ち寄った給油所で、車の後部座席で絶命しているのが発見された。

たったの29歳だった。

いやあ、恥ずかしいけれども、やっぱり「平凡な人生が一番」などとつい思ってしまう。

下の動画は、ハンク・ウィリアムスの数少ない貴重映像だ。

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