サム・クック/ワンダフル・ワールド (1960)【’60s Soul Masterpiece】

Sam Cooke – What A Wonderful World (Vinyl) - Discogs

【60年代ソウルの名曲】
Sam Cooke
Wonderful World (1960)

その唯一無二の歌声はもちろん、ソングライティングの才能も含めて、わたしが最も愛するソウルシンガー、サム・クックの代表曲のひとつだ。1960年4月にリリースされ、全米12位、R&Bチャート2位の大ヒットとなった。

サム・クックとルー・アドラー、ハーブ・アルパートによる3人の共作になっている。
それにしてもなんて良い曲だ。アコースティック楽器だけのシンプルなアレンジもまたいい。

歴史のことなんかよく知らない
生物学も科学もよくわからないし
専攻したフランス語も覚えられない
(written by Lou Adler, Herb Alpert, Sam Cooke)

この曲には他にも、地理、三角法、代数、計算尺などという、歌の歌詞にはふつう出てこないようなお勉強用語が出てくるのがユニークで、それも幅広く愛された理由のひとつと思われる。

歌の主人公は、僕は無知だけれど、君を愛していることだけは知っている。そして、君を振り向かせるために僕は勉強して優等生になるんだ、と歌うのだ。

一見、純情な学生の想いを歌った他愛のない歌のようにも聴こえるが、しかしマルコムXやモハメド・アリなどとも親交があり、公民権運動にも積極的に関わリ、人種の平等を訴えるメッセージ・ソングも書いたサム・クックらしい、もう少し深い思いも込められているようだ。

でも君を愛していることは知ってるんだ
君も僕を愛してくれるならどんなに素敵な世界になるだろう

僕は優等生じゃないけど、でもそうなろうと努力してる
そうすれば君の愛を勝ち取ることができるかもしれないから
(written by Lou Adler, Herb Alpert, Sam Cooke)

黒人も懸命に勉強して立派な人間にならなければいけない、ということでもあるし、歌詞に出てくる「君」がもしも白人の女の子だとすれば、そんなふたりが愛し合うことができるとしたらなんて素晴らしい世界なんだろう、と歌っているのかもしれないのだ。

(Goro)

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