No.036 スライ&ザ・ファミリー・ストーン/アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユア・ハイヤー (1969)

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≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ 36
Sly & The Family Stone / I Want To Take You Higher

その昔、『ウッドストック』の映画でスライ&ザ・ファミリー・ストーンを初めて知った。
あの映画の中で観客が一番熱狂していたのはザ・フーでもジミ・ヘンドリクスでもなく、彼らのこの曲だった記憶がある。
その観客を巻き込む嵐のようなパワーが強烈な印象だった。

そのウッドストックのバージョンはあまりに違いすぎて、同じ曲とは思えないほどだが、わたしがスライ&ザ・ファミリー・ストーンを本格的に聴くようになったのは後年オリジナルバージョンを聴いて、それがとにかく気に入ったからだ。
重心が低く、やや遅めのテンポが、不穏な空気と独特のグルーヴをカモしていて最高だ。

彼らの音楽は史上初のミクスチャー・ロックと言えるだろう。
スライが開いた扉から、やがてプリンスが颯爽と登場した。

彼らは67年にデビューして69年のウッドストックあたりで絶頂期を迎え、しかし75年にはコンサートにもまったく客が入らないほど人気の下降が激しく、活動停止を余儀なくされた。

今から思えばタイムマシンに乗ってでも観てみたい伝説的なアーティストたちでさえも、その当時はあくまでただの人気商売で、われわれ音楽ファンの移ろいやすさ、飽きっぽさに振り回されて寂しい結末を迎えていたりするものだ。
仕方がないことなのだろうけど、寂しいものだ。