Simon And Garfunkel
The Sound Of Silence (1964)
てっきりこの曲は1967年公開のダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』で有名になったのかと思いこんでいたが、違っていたようだ。
もともとは1964年10月発表の彼らの1stアルバム『水曜の朝、午前3時』に収められていた曲で、そのときはヴォーカルとアコギだけのバージョンだった。このアルバムはまったく売れなかったらしい。そのため、グループもその時点で解散してしまった。
しかし、公民権運動の活動家だった友人の死に対する怒りと悲しみを歌ったこの曲が、ラジオを通じて学生たちに評判になった。それを知ったプロデューサー、トム・ウィルソンが、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」のレコーディングのために集まっていたミュージシャンを使って、オリジナルに合わせてバンド演奏してもらい、サイモンとガーファンクルのふたりには無断で、シングルとして翌1965年9月にリリースしたらしい（諸説あり）。
作者のポール・サイモンは激怒したが、結果的にシングルは全米1位の大ヒットとなった。翌年には日本のオリコンチャートでも1位となる世界的なヒットとなった。一旦解散した二人は、活動を再開した。
映画『卒業』はその2年後にこの楽曲や「ミセス・ロビンソン」を挿入歌として、製作された。
大ヒットしたバンド・バージョンのほうが聴き慣れてはいるが、二人のコーラスとアコギが美しく溶け合う64年のアコギバージョンのほうも捨てがたい。わたしは後者の方が好きかもしれない。
「暗闇」のことを「僕の古い友人」と呼んで、難解な言葉を紡いでゆくイメージは、狂気の一歩手前のような憤りと厳粛な哀しみを感じさせる。深く、美しい曲だ。
↓ 1stアルバム『水曜の朝、午前3時』に収録されたオリジナル・バージョン。
↓ 翌年にシングルとして発売されて世界的ヒットとなった、バンド演奏をオーバー・ダビングしたバージョン。
（Goro）