インプレッションズ『ピープル・ゲット・レディ』(1965)【最強ロック名盤500】#87

ピープル・ゲット・レディ

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【最強ロック名盤500】#87
The Impressions
“People Get Ready” (1965)

インプレッションズはジェリー・バトラーとカーティス・メイフィールドを中心に1958年にシカゴで結成した5人組のソウル・グループだった。その後、バトラーが独立してメイフィールドを中心に活動し、63年には三人組となる。彼らが独自の音楽性を発揮し始めたのはそれからだ。

同じコーラスグループとはいえ、モータウンのテンプテーションズやミラクルズなどとは明らかに違い、当時の公民権運動に共鳴する社会的・政治的な歌詞もそうだが、先進的かつ美しいアレンジやコーラスワーク、甘さ控えめな内省的で気高い音楽性、70年代ニュー・ソウルの先駆とも言えるようなクリエイティヴなシカゴ・ソウルの世界が繰り広げられている。

本作はインプレッションズが1965年に発表した4枚目のアルバムで、全曲カーティス・メイフィールドによって書かれ、リードヴォーカルとギターも彼が担当している。アルバムは全米23位のヒットとなった。カッコ内は全米シングルチャートの最高位。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 ウーマンズ・ガット・ソウル(29位)
2 エモーションズ
3 サムタイムズ・アイ・ワンダー
4 ウィーアー・イン・ラヴ
5 ジャスト・アナザー・ダンス
6 キャント・ワーク・ノー・ロンガー

SIDE B

1 ピープル・ゲット・レディ(14位)
2 アイヴ・ファウンド・ザット・アイヴ・ロスト
3 ハード・トゥ・ビリーヴ
4 シー・ザ・リアル・ミー
5 ゲット・アップ・アンド・ムーヴ
6 ユー・マスト・ビリーヴ・ミー(15位)

開放感のある2曲のシングル、A1「ウーマンズ・ガット・ソウル」、B6「ユー・マスト・ビリーヴ・ミー」も好きだが、なんと言っても有名なタイトル曲が感動的である。

この曲はカーティス・メイフィールドが公民権運動(人種差別撤廃を求める運動)を題材に書いた、ゴスペル風の曲で、全米14位、R&Bチャート3位となった、彼らの代表曲だ。

みんな、準備はいいかい?
列車がやってくる
でも切符も荷物もいらない
信じる心があればいいんだ
神に感謝しよう

それに乗り込むすべての人に希望がある
この世に災いをもたらすやつらには席はない
彼らを哀れんでやろう
神の前では逃げも隠れも出来ないんだ
(written by Curtis Mayfield)

これ以上はないというほどシンプルだが、どんな人の心にも染み透っていく、気高く、美しいバラードだ。1960年代に書かれた最も感動的なソウルの名曲である。

↓ アルバムの冒頭を飾る、開放感のあるダンスナンバー「ウーマンズ・ガット・ソウル」。

↓カーティス・メイフィールドの代表曲であり、60年代に書かれた最も美しいソウルナンバー「ピープル・ゲット・レイディ」。

(Goro)