ザ・ジーザス&メリー・チェイン/ヘッド・オン (1989)【’80s Rock Masterpiece】

Automatic

The Jesus & Mary Chain
Head On (1989)

英スコットランド出身のジムとウィリアムのリード兄弟を中心としたバンド、ザ・ジーザス&メリー・チェインは1984年にデビューした。

デビュー・シングルは「アップサイド・ダウン」という、フィードバックノイズの彼方からかすかに演奏が聴こえてくるという、衝撃的で中毒的なナンバーだった。

その中毒症状で英国のインディ系ロックは80年代末ごろから過剰なノイズを放射する病にとり憑かれ、われわれリスナーにも中毒が蔓延した。毒は海を渡ってアメリカにも上陸し、オルタナティヴ・ロック界隈で猛威を振るった。

この曲は彼らの3rdアルバム『オートマチック』に収められ、シングルカットもされた。もちろん世間的にはまったくヒットなんてしていない。しかしわれわわれ中毒リスナーの間では大ヒット曲として知られる、時代のアンセムである。

前作からベーシストが脱退し、ドラマーのボビー・ギレスピーも脱退してプライマル・スクリームをつくりに行ってしまったので、ベースもドラマーも不在、リード兄弟ふたりだけになってしまった。きっと彼らは友だちを作るのが下手なタイプなのだ。わたしと同じだな。

ライヴが短かすぎて暴動が起こったり、「JESUS, FUCK」という曲をシングルにしようとして怒られたりと、なにかと炎上する人たちだったので、あまり人が寄り付かなかったのかもしれない。

彼らは決して才能にあふれた天才肌のミュージシャンではないと思う。
どちらかというとパンクロッカータイプで、自分たちのできる範囲で新しい表現にチャレンジした、プライマル・スクリームなんかもそうだけど、われわれリスナーと同じ立ち位置にいるような、ミュージシャンというよりリスナー代表みたいな印象だ。もちろん良い意味で。

こ曲はあまり奇を衒わず、ノイズ抑えめで歌メロをしっかり書いて、カッコよくロケンロールにチャレンジした感じだ。
だけど人手不足なのでドラムとベースが打ち込みになった。あの時代にはそれが新鮮に聴こえたということはあった。しかし今アルバム『オートマティック』を聴いてみると、せっかく良い曲を結構書いてるのに、打ち込みサウンドのせいか、やはり単調に聴こえるのは否めない。

まあアルバムはともかく、このかっこいいロケンロール「ヘッド・オン」は名曲だ。わたしはジザメリの中ではこの曲が一番好きだ。

↓ ピクシーズによるカバー。これもめちゃかっこいい。

(Goro)

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