ザ・クランベリーズ/サルヴェーション(1996)

To The Faithful Departed

【アイリッシュ・ロックの快楽】#6
The Cranberries – Salvation

アイルランド出身のロック・バンドで世界的成功を収めたと言えばU2が圧倒的だけれど、その次はたぶん、このアルバムセールス3,800万枚超えのザ・クランベリーズだろう。

なんといってもドロレス・オリオーダンの声はわたしを惹きつけてやまない。
初期のピュアで美しい代表曲「ドリームス」や「リンガー」ももちろんいいけれど、ここではもっとアグレッシヴな、ドロレス女王様が鞭でビシバシお仕置きをしながら歌うかのような「サルヴェーション」を取り上げよう。

「ガキ共、麻薬なんかに手を出すんじゃねぇ! そんなもんに頼ってもムダだぞ!なにも救ってくれないぞ!」と歌う、麻薬撲滅ソングである。

その昔ロックンロールは、若者たちにドラッグを広めるのに大いに貢献した、邪悪で有害で言語道断な音楽だった。
しかしロック界も自らの毒が回って死ぬ有毒動物のように、何人もの優れた才能を失い、90年代にロックンロール復権を果たしたヒーローだったカート・コバーンまで失ったところでもういい加減うんざりして、風向きが変わってきた時代の歌である。

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