No.398 エイミー・ワインハウス/リハブ (2006)

Back to Black
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その398
Amy Winehouse – Rehab

ロックの歴史においてはやんちゃな女性アーティストなんていくらでもいるが、このエイミーほど「Bitch」と呼ばれたアーティストもいないのではないか。

エイミー・ワインハウスはイギリスのミドルセックス州出身で、20歳でデビューした。
2000年代初頭という時代に、60年代のソウルミュージックのような、独特の歌声と楽曲が人気を博した。

1stアルバムがいきなり英国で67万枚を超えるヒットとなったが、3年後の2ndアルバムでは全英1位、全米でも2位、グラミー賞も受賞するなど、歌手としては大成功を収めていた。
しかし彼女もまた「愚か者クラブ」に入部することになる。

2007年にビデオの撮影アシスタントと結婚すると、その夫の影響で薬物依存症になり、ノルウェーで大麻所持で逮捕される。
保釈金を払って釈放されたものの、夫の司法妨害に加担した罪とやらで再逮捕され、薬物の治療施設に入所した。
2008年の4月には酔って男性2人を暴行して警察の事情聴取を受け、5月には薬物所持で逮捕された。

女性関係にルーズだった彼女の夫は逮捕拘留中にも女囚と浮気し、エイミーは逆に捨てられる形で離婚され、アルコール中毒と薬物依存がさらに深刻になる。
2011年に復帰してヨーロッパ・ツアーを開始したものの、開始時間に大幅に遅れたうえに泥酔してまともに歌えず、「史上最悪のコンサート」などと報じられ、ツアーは中止となった。
この頃には病的に痩せ、錯乱状態で泣いている写真をパパラッチに撮られ、世界に衝撃を与えた。

そして2011年の7月、彼女は自宅で遺体となって発見された。
死因はアルコール中毒で、寝室の床の上にはウオツカの空き瓶が2本転がっていたという。
27歳だった。
カート・コバーンの母上が嘆いた「愚か者クラブ」にまた一人新たな名前が書き加えられた。

この曲は日本でも、洋楽アーティストとしては異例なほど大ヒットした2ndアルバム『バック・トゥ・ブラック』からのシングルで、彼女の最大のヒットとなった代表曲だ。
「リハブ」というのは、薬物のリハビリ施設のことで、入所していた頃の経験を歌ったものらしい。

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コメント

  1. ごろー より:

    ゃっぱり思い出すのは…
    狙ったわけじゃなくて、彼女にとって自然なスタイルがあのままだったんですね。
    だとすると、やっぱり思い出してしまうのはジャニス・ジョプリンですね。
    ジャニスも、彼女にしかできないスタイルで身を削るように歌ってたと思います。
    そして二人とも27歳で旅立ってますし…。

  2. フー太郎 より:

    ポールウェラーも惚れた才能
    ドアーズのジムモリソンや、ストーンズのブライアンジョーンズに比べたらエイミーの死因はイングランドの労働者階級とかにありがちな典型的な破滅的な人生な気がしますが、その才能は本物だと思います。2000年代初頭のロックンロールリバイバルブームみたいな意図的に懐古主義を打ち出したのとは違い、エイミーはプロデューサーもそうなんですが、もっと狙ってないというか流行り廃りとは程遠い自然体的な雰囲気が好きでした。