【映画】『グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー』(1989米) ★★★★☆

グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー [DVD]

【音楽映画の快楽】
Great Balls Of Fire!

監督:ジム・マクブライド
主演:デニス・クエイド、ウィノナ・ライダー
音楽:ジェリー・リー・ルイス

1956年にエルヴィスやジョニー・キャッシュらと同じサン・レコードからデビューし、「火の玉ロック」など数々のヒット曲を生み出したロックンロール・オリジネイターのひとり、ジェリー・リー・ルイスの栄光と凋落を描いた作品だ。

この映画も、わたしが20代の頃に勤めていた映画館で上映していた作品だけど、当時は観なかった。

ちょうどその頃、デニス・クエイドの主演作がやたらと連続した頃で、彼のニヤケ顔になんだかゲンナリしていた頃だったのだ。

それで今回、初めてこの映画を見ることになった。

いやぁ、デニス・クエイド、良いわぁ。

ジェリー・リーの仕草やしゃべり方を真似して似せようとしてるところも良いし、ジェリー・リー本人からピアノの猛特訓を受け、実際に弾いているらしい。エラい。デニス・クエイド、好きだ。

若い頃の好き嫌いなんて、食べ物の好き嫌いと同じで、一生同じというわけでもない。あてにらならないものだ。

物語は、ジェリー・リーが一気にロックンロールのスターへと駆け上っていく栄光の日々と、しかしその裏で13歳の少女と結婚していたこと(ジェリー・リーは当時22歳)、さらに重婚の疑いまで付いて世間からバッシングを受け、イギリス・ツアーは失敗、アメリカでも人気が急落していく様子を中心に描かれている。

アメリカでは今でも多くの州で、13歳でも結婚できるらしい。
だから違法ではないのだけど、そんなにバッシングするぐらいなら法律を変えたらいいのにとわたしなんかは思うのだけど。

それにしても、エルヴィスも15歳のプリシラと結婚したし、チャック・ベリーは14歳の少女を連れ回して逮捕されるし、なんだかロックンロールの創始者たちはロリコンだらけだ。
13歳の女子を好きになって結婚するなんて、人それぞれとはいえ、わたしはこの点だけはついていけない。

わたしは同性愛だろうが、変態性癖だろうが好き同士なら大いに結構、短い人生、好きなようにヤリまくろうぜ! と思う方だけれども、子供を相手に…というのだけはどうしても抵抗があるのだ。率直に言うと、どうにも気持ちが悪い。死ねばいいのに、と思ってしまう。でもまあ、ジェリー・リーと彼女はちゃんと恋愛もしてるわけだし、彼の地では違法じゃないのだから責められないけれど。

わずか3~4年ぐらいでジェットコースターのような急上昇と急下降を経験したジェリー・リーの栄光と没落を、ミュージカル的な演出もところどころ入れて、全体的にテンポ良くポップに仕上げたのがとても良い。

バッシングを受けて芸能界からも追い出されたジェリー・リーは、それでも「とりあえず謝罪しとけ」と言う周囲の説得には最後まで応じず、自分の生き方を貫き通すことを選ぶ。

それはとてもカッコいいことだ。
ロックンローラーはそうじゃなきゃ。

わたしの情緒がよくわからないかもしれないけれど、つまり、ロック映画としては悪くない映画だ。

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