【放送禁止歌の真相】美輪明宏/ヨイトマケの唄(1965)

【ニッポンの名曲】
作詞・作曲 丸山明宏

「神武以来の美少年」という物凄いキャッチフレーズでシャンソンを歌っていた美輪明宏(当時の芸名は丸山明宏)が、自身で作詞・作曲して1965年に発表した名曲。

作ったきっかけは、炭鉱の盛んなある田舎町でリサイタルを開いたときに、美輪の予想に反して炭鉱労働者たちが客席を埋め尽くすのを見て感動したものの、労働者である彼らに向けて歌う歌が無いと感じた経験から、この歌を書くことになったという。歌のモデルになったのは幼なじみの友人とその母親だった。
女手ひとつで、日雇いの肉体労働をしながら育ててくれた母への感謝を歌った、感動的な名曲だ。

「ヨイトマケの唄」の歌詞全文はこちら

「ヨイトマケ」とは、まだ建設機械が普及していなかった時代に、滑車に吊るした重い槌や岩を、数人がかりで引っ張り上げて落とす、地面を固めるための作業のときの掛け声なのだそうだ。「ヨイっと巻け」から来ているらしい。

この曲を発表した当時、美輪は同性愛を公表した影響もあって仕事が減り、低迷していたそうだが、テレビのモーニングショーでこの曲を初めて歌うと、反響が大きく、2万通のリクエスト葉書が届いたのだという。それに応えて翌週もう一度歌うと、さらに5万通のリクエストが届いたそうだ。レコードは40万枚を売り上げた。

それほど支持された曲でありながら、しばらくすると、歌詞に「土方」という差別用語(そんなわけないけど)が入っているという理由でテレビ・ラジオで放送されなくなってしまった。

しかしこの曲は1983年版(最終版)の「要注意歌謡曲リスト」には入っていない。
これももしかすると、メディア関係者が勝手に「差別用語っぽいのがあるから、放送しないにこしたことはない」という「事なかれ自粛主義」の犠牲者となった可能性が高い。

そんなことでこの日本の歌謡史に残る名曲は、30年以上も民放で放送されることがなかった。毎回書いてるが、ホントにバカなことだ。

その後、2000年に桑田佳祐がフジテレビの番組でこの歌を歌った頃から「あれ? これって流していいんだっけ?」みたいな、解禁ムードになんとなくなり、美輪自身がテレビで「幻の名曲」として歌う機会が増え、2015年にはNHK紅白歌合戦でも歌われた。

土方をバカにした歌ならともかく、その真逆なのに、「土方」という名詞が入っているというだけで民放メディアが過敏になって放送を見合わせたというのが、ことの真相だろう。

日頃、言論の自由だの表現の自由だのと喧しい、その同じ口で「事なかれ自粛主義」を発動するメディア関係者たちには幻滅と軽蔑と憤りしか感じない。

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