リンダ・ロンシュタット【名曲ベストテン】LINDA RONSTADT Greatest 10 Songs

The Very Best Of Linda Ronstadt

〈歌姫〉という言葉がこれほど似合う人もなかなかいないのではないか。

米西海岸の歌姫、リンダ・ロンシュタットは、カバー曲しか歌わないという特異なスタイルながら、70年代に大ヒットを連発した。

しかも安易にヒットが狙えそうな有名曲のカバーではなく、マイナーな佳曲や、忘れられた古い名曲を積極的に取り上げ、彼女が歌ってヒットした楽曲のオリジネイターであるバディ・ホリーやロイ・オービソンなどの人気が若者を中心に再燃するという、オールディーズ・ブームにも貢献した。

彼女のために集まったバック・バンドが後にイーグルスとしてデビューしたり、ニール・ヤングの大ヒット曲「孤独の旅路」でコーラスを務めたり、彼女のソロ・アルバムにLA中の腕利きのミュージシャンたちが集まったりと、人に恵まれ、愛されたのは、彼女のズバ抜けた歌手としての魅力、女性としての魅力、人間的な魅力が為せる業だったに違いない。

彼女はまた、カントリー、R&B、ロックンロール、スタンダード、AOR、ニュー・ウェイヴ、ラテンと幅広く歌いこなせるセンスと技術を併せ持っていた。これほど幅広いジャンルを歌いこなして成功した歌手はちょっと他に思いつかない。

わたしにとって彼女は、最もカッコよくロックを歌った女性シンガーのひとりだ。
どこか親しみやすい雰囲気を持った、大声を張り上げてのびのびと歌う田舎娘のように可愛らしいリンダは、多くのロック・ファンに愛された、70年代最高の女性ロック・シンガーだった。

以下は、わたしが愛するリンダ・ロンシュタットの至極の名曲ベストテンです。

第10位 ザットル・ビー・ザ・デイ(1976)
That’ll Be the Day

76年のアルバム『風にさらわれた恋(Hasten Down the Wind)』からのシングル・カットで、全米11位のヒットとなった。

オリジナルはバディ・ホリーの代表曲。今と違って、20年前の音楽ともなればなかなか聴く機会の少なかった当時の状況において、リンダのカバーによって注目を浴び、若者たちを中心に人気が再燃したアーティストも多かったという。このバディ・ホリーはその代表的なひとりだ。

「バディ・ホリー/ザットル・ビー・ザ・デイ」の過去記事はこちら

第9位 ひとすじの涙(1975)
Tracks of my Tears

75年のアルバム『哀しみのプリズナー(Prisoner in Disguise)』からのシングルで、全米25位。

原曲はスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」。

カントリーからR&Bまで幅広く歌いこなしてヒットを出したアーティストはそうそういないだろう。

第8位 ウィリン(1974)
Willin’

74年のアルバム『悪いあなた(Heart Like a Wheel)』収録曲。オリジナルはリトル・フィートの代表曲だ。

リンダのバージョンは、一見地味なこの曲の、ポップな魅力を最大限に引き出しながら、美しいバラードのようにも聴かせてくれる。

「ウィリン」の過去記事はこちら

第7位 ダイスをころがせ(1977)
Tumbling Dice

77年のアルバム『夢はひとつだけ(Simple Dreams)』からのシングルで、全米32位。オリジナルはザ・ローリング・ストーンズの名曲だ。

リンダ・ロンシュタットのバージョンは、あのストーンズのユラユラ酔っぱらったような独特のグルーヴこそないものの、歯切れのいいビートで、力強さはストーンズ以上かもしれない。

「ダイスをころがせ」の過去記事はこちら

第6位 ヒート・ウェイヴ(1975)
Heat Wave

『哀しみのプリズナー(Prisoner in Disguise)』収録曲。1963年にマーサ&ザ・ヴァンデラスが歌って全米4位の大ヒットとなった、モータウンを代表する名曲のひとつだ。

ザ・フーやザ・ジャムのバージョンも滅法カッコいいが、後半のブレイクでの「イェイイェイ、イェイイェイ!」のシャウトがいちばんカッコいいのは間違いなくリンダだ。

「ヒート・ウェイヴ」の過去記事はこちら

第5位 イッツ・ソー・イージー(1977)
It’s So Easy

『夢はひとつだけ(Simple Dreams)』からのシングルで、全米5位の大ヒットとなった。

バディ・ホリーのオリジナルも良いが、これはそれを上回るカッコ良さだ。

「イッツ・ソー・イージー」の過去記事はこちら

第4位 ならず者(1973)
Desperado

73年のアルバム『ドント・クライ・ナウ(Don’t Cry Now)』収録曲。オリジナルは同年に発表されたイーグルスの名曲。

親しい仲だったミック・ジャガーに「君の歌にはロックが足りない」と言われて、「あなたの歌にはバラードが足りないわ」と言い返したという、リンダが得意としたバラードの最高傑作のひとつ。感動的な歌唱だ。

「イーグルス/ならず者」の過去記事はこちら

第3位 ブルー・バイユー(1977)
Blue Bayou

『夢はひとつだけ(Simple Dreams)』からのシングルで全米3位の大ヒットとなった、ロイ・オービソンの名曲のカバー。

遠く離れた故郷のブルー・バイユーに住む人々のことを想う気持ちを歌った歌詞だが、リンダ版はオリジナルよりもスロー・テンポで、より哀切を感じる、感動的なカバーとなっている。

「ブルー・バイユー」の過去記事はこちら

第2位 いつになったら愛されるのかしら(1974)
When Will I Be Loved

『悪いあなた(Heart Like a Wheel)』からのシングルで、全米2位の大ヒットとなった、リンダの代表曲のひとつ。

オリジナルはエヴァリー・ブラザーズの1960年の曲だが、リンダのバージョンが圧倒的に良い。

こういうのを聴くと、やはりカバーをやらせたら彼女の右に出る者はいないなあと、あらためて思う。

「いつになったら愛されるのかしら」の過去記事はこちら

第1位 悪いあなた(1973)
You’re No Good

『悪いあなた(Heart Like a Wheel)』からのシングルで、リンダの唯一の全米ナンバー1ヒットとなった代表曲。

オリジナルはR&B歌手、ディオンヌ・ワーウィックの妹の、ディー・ディー・ワーウィック。

リンダの小悪魔的な魅力と力強さを併せ持つ歌唱、そしてグルーヴ感も素晴らしい。悪い男をどやしつけるようなシャウトも最高だ。

「悪いあなた」の過去記事はこちら

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるまとめ動画集をYouTubeで作成しました。

↓まとめ動画集

また、apple musicのプレイリストとしても作成済みです。

apple musicをご利用の方はこちらのリンクからプレイリストにジャンプできます。

リンダ・ロンシュタット【名曲ベストテン】LINDA RONSTADT Greatest 10 Songs (goromusic.com)

ぜひお楽しみください。

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