スウェード/ビューティフル・ワンズ(1996)

カミング・アップ

【90年代ロックの快楽】
Suede – Beautiful Ones

1stアルバムは大成功したものの、翌年発表された2nd『ドッグ・マン・スター(Dog Man Star)』はやけに地味な出来だったし、さらにスウェード・サウンドの核とも言えるギタリスト、バーナード・バトラーの脱退で、もうスウェードは終わったなと当時のわたしは思ったものだった。

しかしその2年後の1996年、路線を激しくポップ指向に変えた3rdアルバム『カミング・アップ(Coming Up)』が見事全英1位を獲得し、再び黄金時代を迎えた。

当時17歳だった新ギタリスト、リチャード・オークスを迎え、新たなソングライターとしても活躍した。この曲もブレットとリチャードのコンビによって書かれ、全英8位のヒットとなった。

デビュー当時からよくデヴィッド・ボウイに比較されたスウェードだったが、たしかにグラム・ロック的な要素はあるものの、わたしには彼らはむしろT.Rexを想起させた。T.Rexのような、キャッチーでポップな王道の英国ギター・ロックという印象だったのだ。歌詞はまあ毒ガエルだけれども。

だからスウェードが前作のダーク淫靡路線からいきなりポップ路線に方向転換しても、それこそ本来の持ち味を活かす良い選択だったのだと思う。

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