ザ・ビートルズ『ハード・デイズ・ナイト』(1964)【最強ロック名盤500】#81

A Hard Day's Night (Remastered 2009)

⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#81
The Beatles
“A Hard Days Night” (1964)

1964年に公開された映画『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』のサウンドトラックとして、映画と同じタイトルで1964年7月にリリースされた、ビートルズの3rdアルバムである。

2000年にリバイバル上映された際に映画のタイトルが『ハード・デイズ・ナイト』という邦題に改められ、本アルバムのタイトルも、以降の国内盤ではこのタイトルに変更されている。

変更の理由は「原題の意味と違いすぎる」というものらしいが、世の中はどんどん「厳密」になっていくらしい。

当時、この映画の邦題を付けたのは映画会社時代の水野晴郎氏だそうだが、きっと彼も草葉の陰でショックを受けているに違いない。わたしはどっちでも構わないが。

この映画はそこそこ評価が高いらしいが、わたしも以前、このブログで映画の方を取り上げたことがある。

そのときは「90分間まったく笑えないジョークや悪ふざけが延々と続いて気が狂いそうになる」「あまりにドラマ部分のクオリティが低すぎるからなのか、逆に使われているビートルズの楽曲すべてがそのギャップでクオリティの高い名曲に聴こえるというのは意外な効果かもしれない」などと書いたが、これはまあ60年も前の映画なので仕方がないだろう。前にも書いたが、ビートルズの連中はいけ好かないし、映画も最低だが、音楽だけは憎たらしいぐらい最高だ。

本作は、LPのA面7曲が映画で使われた曲、B面6曲は新曲という構成になっている。そしてビートルズとしては初めての、全曲オリジナルである。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 ハード・デイズ・ナイト(全英1位、全米1位)
2 恋する二人
3 恋におちたら
4 すてきなダンス
5 アンド・アイ・ラヴ・ハー(全米12位)
6 テル・ミー・ホワイ
7 キャント・バイ・ミー・ラヴ(全英1位、全米1位)

SIDE B

1 エニイ・タイム・アット・オール
2 ぼくが泣く(全米25位)
3 今日の誓い
4 家に帰れば
5 ユー・キャント・ドゥ・ザット
6 アイル・ビー・バック

全曲レノン=マッカートニーとクレジットされているが、ポールの曲はA5、A7、B3の3曲で、ジョンが9曲を書き、リードヴォーカルを務めている。

タイトル曲のA1などは今あらためて聴いても感心するほどの名曲だし、A2、A3と聴き進めていくたび、ジョンがこのときどえらく絶好調だったことがよくわかる。

ジョンは基本的にロックンロール野郎なので、アルバム全体もその印象が濃くなっているが、ポールの3曲もまた異質の輝きを放っていて、アルバムに重要な彩りを添えている。

若い頃はビートルズで好きな曲を挙げると、そのほとんどがジョンの曲だった。
しかし最近はポールの曲に魅かれることも多くなった。自分でも驚く。

わたしは若い頃は肉ばっかり食べていたのに、年をとって最近はめっきり魚介のほうが好きになってきた。それと同じようなものだろうか。
そう思うとポールの顔はどことなくお魚に似ている気がしないでもない。

全曲オリジナルというのは、当時のブリティッシュ・ビート・バンドたちはまだ誰もやっていなかった。ブルースとR&Bとロックンロールのカバーだけで当分やっていけると思っていたビートバンドたちは一斉に蒼ざめたに違いない。

危機感も感じながら、彼らはオリジナルを書き始めた。書けないバンドは淘汰されていったが、このステップアップによってブリティッシュ・ビートは更なる盛り上がりを見せていく。


↓ 全英1位、全米1位と大ヒットしたタイトル曲「ハード・デイズ・ナイト」。

↓ こちらも全英1位、全米1位となったポールの曲「キャント・バイ・ミー・ラヴ」。

(Goro)

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