No.056 レーナード・スキナード/スウィート・ホーム・アラバマ (1974)

Second Helping
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その56
Lynyrd Skynyrd – Sweet Home Alabama

サザンロックのシンボル的グループ、レーナード・スキナードの最も有名なヒット曲。

ギターが3人もいる大所帯なのにタイトでカッコいいサウンドとキャッチーなメロディはそれだけでもヒットして当然だが、当時の人気アーティストだったニール・ヤングの実名を出しておちょくった歌詞がさらに話題になったに違いない。

発端はニール・ヤングが1972年に「アラバマ」という曲で、人種差別的傾向が強かった土地柄を激しい表現で批判したことから始まる。

それに応えたアンサー・ソングとして、レーナード・スキナードがこの「スウィート・ホーム・アラバマ」を発表する。

ニール・ヤングがアラバマのことを歌にして
ボロクソ言ってるのを聴いたよ
だけどヤツには教えてやりたいね
南部の人間にとっては
お前なんかいなくても痛くも痒くもないんだって
(written by Ed King, Gary Rossington, Ronnie Van Zant)

なのでわたしは長年、ニールとレーナードとは相容れない世界の人種同士なのだろうと勝手に思い込んでいたのだが、どうやらそうでもないらしい。

今年読んだニールの自伝には、

「アラバマ」という曲は、悪いのはお前たちだとえらそうに非難するだけの考えの足りない歌詞で、レーナードの糾弾を受けるのも当然の内容だ。今では到底好きになれない。
(『ニール・ヤング自伝』ニール・ヤング著 奥田祐士訳)

と書いている。
そのうえ、ニールは彼らの音楽を非常にリスペクトしており、「スウィート・ホーム・アラバマ」もライヴで何度か演奏して大ウケしたという話も書かれている。

レーナードのメンバーも実はニール・ヤングの音楽が好きだったらしい。
下の動画ではヴォーカルのロニー・ヴァン・ザントがニールの『今宵その夜』のアルバムジャケットがプリントされたTシャツを着て歌っている。

そして1977年、あろうことかバンドの絶頂期に、そのロニー・ヴァン・ザントとギターのスティーヴ・ゲインズが乗っていた飛行機が墜落し死亡するという悲劇に見舞われ、バンドは解散した。

ワイルドな印象だけどジャムバンドにならずに3本のギターがちゃんと機能しているサウンドは真のオリジナリティと唯一無比のカッコ良さがあった。もしも彼らがあの時代にあのまま続いていればサザンロックはもっと充実したものに育っていったのかもしれない。

しかし不屈の南部魂は10年後の1987年、ロニー・ヴァン・ザントの弟であるジョニーを加えてレーナード・スキナードを再結成し、ファンを大いに喜ばせた。

それから29年、彼らは現在も元気に活動中である。