学生街の人気者から世界の頂点へ 〜 R.E.M.『アウト・オブ・タイム』(1991)【最強ロック名盤500】#26

OUT OF TIME [12 inch Analog]

⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#26
R.E.M.
“Out of Time” (1991)

あの時代に、轟音ギターもダンス・ビートもサンプリングもデジタルサウンドもフィードバックノイズもまったく関係ないところで、孤高の存在としてマジメなロックファンから支持を集めていたのがR.E.M.だった。

80年代のインディーズ時代から、パンク的なアティテュードやニューウェイヴ的な切り口も持ちながら、アメリカン・ロックの原点である、60年代のフォーク・ロックやカントリーのトラディショナルな響きをサウンドの核にした音楽性は、当時の流行のどんなジャンルにも属さない唯一無二の存在だった。シンプルの極みのような、今時めずらしいほど清々しい音楽だなあと思って聴いたものだった。

本作は1991年3月にリリースされたR.E.M.の通算7枚目のアルバムである。
初の全米1位、全英1位を獲得し、全世界で1,800万枚を売り上げる破格のメガヒットとなった。あの知る人ぞ知る学生たちの人気者が、まさかこれほどの世界的成功を収めるとは、わたしも夢にも思っていなかった。なんともまあ、ぶったまげたものだ。スーパー・ロックスターではないか。

楽曲はそれまでより格段にポップになり、キャッチーな歌メロがふんだんにある。
大量のゲスト・ミュージシャンを迎えながらもよく整理されたアレンジで、アコースティック楽器を中心に品の良いストリングスも加え、非常に聴きやすく、心地良い、万人向けのサウンドを作り出している。

R.E.M.らしさと、らしくなさの両面が同居しているようなアルバムだ。賛否両論があるのも頷ける。

しかし売れまくったからと言って決して商業主義的な内容ではないし、楽曲のクオリティからしても間違いなく名盤である。ただ、わたしのような根の暗い人間にとっては少々明るすぎ、眩しすぎるとも言える。R.E.M.の最高傑作ということであれば、わたしは次作に譲りたい。

↓ 全米4位となり、R.E.M.史上最高のヒットシングルとなった「ルージング・マイ・レリジョン」。

↓ B-52’sのヴォーカリスト、ケイト・ピアソンをゲスト・ヴォーカルに迎えた、アルバム中最もポップな「シャイニー・ハッピー・ピープル」。全米10位、全英6位の大ヒットとなった。

(Goro)

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