三上寛/ひびけ電気釜!!(1972)

ひらく夢などあるじゃなし

【ニッポンの名曲】#21
作詞・作曲:三上寛

賢明な人は【ニッポンの名曲】にこんな曲は選ばないだろうけど、わたしはバカなので選んぢゃおう。

三上寛との出会いは『三上寛ライヴ・中津川全日本フォークジャンボリー’71』という衝撃的なレコードだった。

「小便だらけの湖」「犯されたら泣けばいい」「妹売歌」「パンティストッキングのような空」など、タイトルだけでもいかがわしいが、素人時代のまったく無名の状況でフォークジャンボリーに出演したにもかかわらず、とにかく観客にウケまくっているのが印象的だった。

女子のお股を表す四文字言葉を連発し、近親相姦、自慰、レイプ、自殺、心中などの恐るべきテーマを、ギターをかきむしり絶叫するそのパフォーマンスに、純真な美しき十代のわたしは特大の衝撃を受けた。

その独特の歌詞は、暴力的で恥知らずで不適切だが、同時に抒情的で美しく、深遠な真理をついていた。

宇宙と人のメロドラマは
風呂屋のババアのセンズリだ
正義は歴史の水鉄砲よ
観音様はママ母よ
月から見れば地球だって
青くステキなお星さまだよ
だれにも知らさず磨いたナタで何を壊す
おれたちいったい何を壊す 何を壊す
雪のような白い友情のシーツにアイロンかけても
さみしいおいらのシミが残る シミが残る
(ひびけ電気釜!!/作詞・作曲:三上寛)

わたしにとってはセックス・ピストルズよりも先に出会った、衝撃のパンクロックだったのである。

1971年に憤怒にまみれて「おれたちいったい何を壊す!」と歌っていたことを思うと、もしかするとこの三上寛こそが、世界初のパンクロッカーなのかもしれない。

その昔わたしは気がふれていて、この歌を路上でギターを弾きながら歌ったことがある。
ある時を境にわたしは歌もギターも断ってしまったが、もしもう一度、どうしても歌わなければならない機会が訪れたときには、きっとこの歌を歌うだろう。