眠れない夜/泉谷しげる(1974)

黄金狂時代

ニッポンの名曲 #40
作詞・作曲:泉谷しげる

1970年代初頭の日本のフォーク・ブームの立役者のひとり・泉谷しげるは、しかし一足早くフォークからロックへと転向した。

泉谷の4枚目のアルバム『黄金狂時代』はその転換点となったアルバムだ。まだフォーク調の曲が半分以上を占めてはいるものの、オープニングを飾る「眠れない夜」、そして「火の鳥」「Dのロック」「摩天楼」は、すでにフォーク・ロックを超えた、荒っぽくて攻撃的な泉谷流ロックになっている。

中でも、都会に圧し潰され精神を蝕まれていく孤独な若者の苦悩を描いた歌詞も素晴らしい「眠れない夜」は、アレンジもカッコ良く、完成度が高い。日本のロック史におけるエポック・メイキングな名曲だ。わたしは甲斐バンドや宇崎竜童あたりも泉谷の影響を受けているように思える。
サポートバンドの「イエロー」は元々、ジョー山中と組んでいたジョニー吉長を中心としたバンドである。この曲がちゃんとロックとして完成した楽曲になっているのは、もちろん彼らの貢献によるところが大きい。